研究課題/領域番号 |
26460523
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
土屋 晃介 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (50437216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺炎球菌 / ASC / NLRP3 / 気道粘膜 / 自然免疫 / インフラマソーム |
研究実績の概要 |
肺炎球菌感染の経鼻感染モデルにおけるインフラマソーム関連タンパクの役割について解析した。 その結果、インフラマソームを構成するNLRP3とASCがカスパーゼ-1非依存的に感染防御に貢献することがわかった。NLRP3とASCは複数の気道粘膜抗菌タンパクの遺伝子発現に関わることが明らかになった。それらのタンパクのうち、TFF2が肺炎球菌に対して防御的に働くことが示唆された。また、NLRP3とASCの下流でTFF2およびその他の発現を制御する転写因子(未発表)が同定された。この研究によって新たな気道粘膜防御のメカニズムが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目的として、肺炎球菌感染においてNLRP3とASCによって発現が維持される気道粘膜抗菌タンパクの機能解析や発現誘導機序の解明を予定していた。リコンビナントタンパクや経鼻トランスフェクションの実験を行った結果、これらのタンパクのうちTFF2が肺炎球菌に対して防御的に働くことを示すことができた。また、定量的RT-PCRおよびウエスタンブロット法にてTFF2およびその他の気道粘膜抗菌タンパクの発現がASCおよびNLRP3によって正に制御されることを確認した。さらに、その機序としてTFF2およびその他の発現を制御する転写因子(未発表)の発現維持にASCとNLRP3が重要な役割を果たすことを見出した。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までにNLRP3とASCの下流でTFF2およびその他の気道粘膜抗菌タンパクの発現を制御する転写因子(未発表のため転写因子Aと記す)が同定されたため、NLRP3とASCが転写因子Aの発現を制御する機序の解明を目指す。転写因子Aの発現を調節するシグナル伝達経路を特定し、その活性化におけるNLRP3とASCの役割を調べる。さらに、そのシグナル伝達経路がどのような機序を介してNLRP3とASCによって制御されるかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が平成27年2月1日付けで京都大学から金沢大学に異動した。異動に伴う本課題の移管手続きが3月27日まで完了しなかったため、計画通りに交付金を使用できなかった。また、異動前後の各種手続きや実験のセットアップなどに時間を要し、計画通りに研究を進めることができなかった。これらの理由により平成26年度交付金の一部を翌年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に予定通り行えなかったサイトカインの検出を行う。 <カスパーゼ1依存的および非依存的サイトカインの検出> この解析には各インフラマソーム構成分子の感染抵抗性への関与の検討で得られた検体(肺ホモジェネート、血清)を用い、各検体中のIL-1β、IL-18、IL-10、IL-17、IFN-γなどをELISA法で測定し、NLRP3依存的、ASC依存的、且つカスパーゼ-1非依存的に誘導されるサイトカインを探索する。この実験のために各サイトカインのアッセイキットを購入する。
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