研究課題/領域番号 |
26460523
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
土屋 晃介 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (50437216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インフラマソーム / リステリア / 肺炎球菌 |
研究実績の概要 |
本研究は、細菌感染におけるインフラマソームの活性化誘導機序および病態形成における役割の解明を目指して実施されている。マウスのリステリア感染モデルにおいてインフラマソームがアンピシリンによる菌の排除を亢進することをこれまでに明らかにしてきたが、本年度、この機序としてGSDMDが関与することを明らかにした。GSDMDは計画的細胞死の一種であるパイロトーシスのメディエーターであり、インフラマソームがパイロトーシスの誘導を介して抗生物質治療の菌排除の亢進に働くことが強く示唆された。さらに、インフラマソーム-パイロトーシス経路がアンピシリンによるリステリアの排除を亢進する機序として、GSDMDが細胞膜を傷害して抗生物質の細胞内への透過を促進すること、およびアンピシリンへの抵抗性を示すLAMP-1陽性小胞内の菌がパイロトーシス誘導後に小胞外に出されることも今年度の研究結果から示唆された。また、これまでにNLRP3とASCが肺において複数の粘膜防御タンパクの発現を上昇させることで肺炎球菌に対する宿主防御に貢献することを明らかにしてきたが、この防御機構にはIL-33受容体であるST2が寄与しないことが明らかになった。NLRP3とASCによる粘膜防御タンパクの発現上昇にはSTAT6の関与が示唆されており、IL-33は粘膜におけるSTAT6関連応答の誘導に重要なサイトカインであるが、予想外なことにST2の寄与がみとめられなかったことから別の機序の存在が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた実験を遂行し、論文としてまとめるにほぼ十分な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を論文としてまとめて投稿する。論文の査読コメントに応えるための実験を行い、科学誌での公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が補助事業期間中に京都大学から金沢大学に異動し、実験のセットアップなどに時間を要した。それでも本研究課題で計画していた実験や検証はほぼ遂行できたが、異動による遅延の影響のためそれらの成果を論文として発表するまでには至っていない。従って、これらの研究成果を発表するまでの諸費用を次年度に使用する必要が生じたため補助事業期間を延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでに得られた研究成果を論文として発表するために論文投稿に関わる経費や査読にコメント等に応えるための追加実験の費用などに用いる予定である。
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