多くの哺乳動物の呼吸器官に感染する宿主域の広い気管支敗血症菌はヒトにのみ感染する百日咳菌やパラ百日咳菌の祖先菌と考えられている。比較ゲノム解析から、これら3菌種間の特定の遺伝子の存否や遺伝子の菌種特異的な配列の違いが、感染宿主域を規定しているかもしれないことが示唆されていた。本研究では、これら3菌種のどのような遺伝的背景の違いが感染宿主域を規定するのか明らかにする目的で、気管支敗血症菌がラット気管感染中に発言する遺伝子の欠損株および気管支敗血症菌特異的な遺伝子領域の大規模欠損株を作製し、ラット気管への感染定着能への影響を検討したが、野生株と変異株間に大きな違いが認められなかった。
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