研究課題
Clostridium属細菌のコラゲナーゼのC末端にはPKDドメイン(PKD)とコラーゲン結合ドメイン(CBD)が存在する。本領域を用いて塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)をコラーゲン基剤にアンカリングし、骨新生を誘導する複合剤を開発した。新たに量産可能となったコラーゲン様ペプチドポリマー[(Pro-Hyp-Gly)10]3nを基剤とし、種々のコラーゲン・アンカーを融合したbFGFを添加し、マウス骨折モデルを用いて、これらの複合剤の骨新生誘導能を測定したところ、クラスI酵素(ColG)由来のCBD二量体を用いた場合に最も高い骨新生誘導能が認められた。本年度は、まず、表面プラズモン共鳴法を用いてin vitroにおける各種アンカーの基剤への結合能を定量した。複数ドメインからなるアンカーが結合するよう長鎖のコラーゲン様ペプチドを用いて結合定数を測定したところ、確かにColG由来のアンカーはクラスII酵素(ColH)由来のものより強い結合能を示したが、一量体と二量体の結合能に有意な差は認められなかった。vitroとvivoの一見矛盾する結果を解明するため、ColG由来CBD二量体の構造をX線結晶学的に決定するとともに、水溶液中の構造をX線小角散乱法により決定したところ、二量体の基質結合部位は互いに異なる方向を向いていることが明らかになった。加えて、二量体は少量でコラーゲンのゲル化を促進したことから、二量体は一つのトロポコラーゲン分子に結合するのではなく、二つのトロポコラーゲン分子に結合することが明らかとなった。以上の研究から基質アンカリングにおけるCBD二量体の意義を統一的に理解することができた。橋渡し研究の成果は米国で仮特許出願(62/457,410)を行うとともに、基礎研究の成果の投稿準備を進めている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (2件) 産業財産権 (3件) (うち外国 2件)
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