研究課題/領域番号 |
26460529
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 解析ソフト / 遺伝子の自己編集 / バリエーション |
研究実績の概要 |
抗生物質の多用により、薬の効かない多剤耐性菌の出現が大きな社会問題となっている。申請者は、これまで細菌の抗生物質耐性化のプロセスを解析、抑制することで、耐性菌の出現を限りなく抑制する手法と薬剤の開発を目指し、研究を進めてきた。昨年度までに、ゲノムの特定領域での欠失によって、フレームシフトが生じ、隠れ遺伝子が出現することによって、多くの抗生物質に耐性化する現象(細菌の抗生物質の適応進化に関わる)と、そのキー因子を見出すことに成功した。しかし、そのキーとなる因子を見つけただけで、その隠れ遺伝子出現機構についての詳細は明らにできていない。そこで、この特定の欠失による隠れ遺伝子出現機構について詳細に解析し、新規細菌制御法の確立を目指すとともに、多くの生物でのこの機構の存在を確認することとした。 当初の計画に従い、本年度は、まず 1・欠失し遺伝子が消失したり、現れたりする部位を検索するソフトを作成した。その結果、検討した生物全てのゲノムに、そのような配列が存在していることが確認された。なんとヒトでは、数万に及んでいた。次に 2・本ソフトで検索した配列で本当に欠失が起きるか否か検討した。しかし、検索された配列の内幾つかは、その予想される欠失塩基数が、6 bpや9 bpであり、(1)欠失後もフレームのシフトが起きず、欠失の可否および効率をクロラムフェニコール含有プレートでアッセイすることができない。また、(2)配列ごとに付加されるアミノ酸配列が異なってしまうため、クロラムフェニコール耐性遺伝子の活性に影響を与えることも考えられる。そこで、translational fusion assayのようにフレームシフトによるアッセイ以外のツールの構築も必要であると思考え、申請者は、翻訳にカップリングしないtranscriptional assayを構築し、確かにアッセイに利用可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定したいた内容すべてをクリアーすることができた。そのため”概ね順調に進展している”と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)様々な生物での検索したサイトの欠失の可否 それぞれの生物で複製可能なプラスミドに、昨年度作成したtranslational fusion assayシステムを乗せることにより、他の生物でも重なり合ったダイレクトリピート配列で意図した欠失が起こることを確認する。場合によっては、薬剤感受性の問題やcodon usageの問題から上述の薬剤耐性マーカーが利用できない場合も考えられる。その場合は、異なる薬剤耐性マーカーを利用して対応していく。
(2)GFPのような、全ての細胞に利用可能なアッセイシステムを構築し、ヒト細胞での適用し、その欠失がヒト細胞で起きることを示していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度ということもあり、研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり、学会などへの出張や打ち合わせ・情報収集を控えたため、旅費が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、学会や情報収集への参加のための旅費に使用すること、文献・論文の校閲、翻訳のための謝金として使用すること、などを計画している。
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