研究課題/領域番号 |
26460530
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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研究分担者 |
橋本 雅仁 鹿児島大学, 工学部, 教授 (30333537)
今大路 治之 (中山治之) 香川大学, 医学部, 助教 (80294669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Bacteroides / Clostridium / 毒素 / 莢膜 / 構造解析 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
腸管内常在菌であるBacteroides thetaiotaomicronはClostridium difficileの溶菌を抑制し、毒素の遊離を阻害する。この阻害効果にはB. thataiotaomicronが有する菌体外多糖が関連していることをトランスポゾン挿入変異株のスクリーニングにより明らかにした。Bacteroides thetaiotaomicronとClostridium difficileを混合培養した場合、Clostridium difficileの糖代謝関連遺伝子の発現が上昇することから、Bacteroides thetaiotaomicronの産生する菌体外多糖が、Clostridium difficileによって利用されていると考えられる。この菌種間のクロストークの解明は腸管病原菌の毒素産生抑制法の開発に多大な情報を与える。本年度はB. thataiotaomicronが産生する7種類の莢膜多糖の中で、どの莢膜多糖が溶菌阻害活性を担うのかを、Triton X100を用いた溶菌アッセイにより調べた。その結果、B. thataiotaomicronの莢膜多糖PS-6の欠損株が溶菌活性の消失が最も大きかった。PS-6はその合成遺伝子領域の構造から、糖鎖末端にシアル酸を結合していると予測される。B. thataiotaomicronの野生株よりhot-phenol法により莢膜多糖を精製したが、複数の多糖が混在しており、PS-6の構造解析のためには特定の莢膜多糖のみ産生する株が必要となった。そこで、現在、PS-6以外の莢膜生合成領域を欠失させた株を作製を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではC. difficileの毒素遊離阻害作用を有するB. thataiotaomicronの莢膜多糖の構造決定を行う予定であったが、野生株からhot-phenol法により抽出した画分には複数の莢膜多糖が含まれており、目的の糖鎖構造の解析が困難であった。B. thataiotaomicronのゲノム上には7箇所の莢膜生合成遺伝子領域が存在する。したがって、目的の莢膜多糖以外の生合成遺伝子領域を欠失した変異株の作製が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
B. thataiotaomicronのゲノム上に存在する目的の莢膜多糖の合成領域以外の6箇所の莢膜生合成遺伝子領域を欠失した株を作製する。この変異株から莢膜多糖を精製し、糖鎖構造を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
目的の多糖の構造解析が精製度の問題で実施できなかったため、そのための費用を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の繰越し金を多糖の構造解析のために使用する。
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