研究課題
本年度は研究課題最終年度であることから、in vivoでのBacteroides thetaiotaomicron (BT)のClostridium difficile (CD)の毒性に対する抑制効果を検討した。BT野生株を接種した群ではCD感染後1週間後でも100%が生存したが、BTのPS6莢膜変異株(BTΩps6)を接種した群では50%、多糖輸送関連遺伝子であるgcpE変異株(BTΩgcpE)を接種した群では80%のマウスが死亡した。またCD毒素産生抑制効果が認められないBacteroides uniformis(BU)を定着させた群では、1日目に全例死亡した。以上より、CD毒素産生抑制因子はBT由来の莢膜等の高分子多糖である可能性が動物実験より示唆された。混合感染モデルで得られた糞便懸濁液上清中のToxinA量をToxinA抗体を用いたDot blot解析で検討した。その結果、1週間通してBT野生株を接種した群はBTΩps6株またはBTΩgcpE株を投与した群に比べて糞便中のToxinAの毒素量は低い傾向を示した。特にBTΩgcpE株を投与した群はBTの野生株を投与した群に比べて、ToxinAの毒素量が多い傾向にあった。最後に糞便上清中におけるCD由来ToxinAのHT29細胞に対する細胞毒性をNeutral Red Assayによって検討した。その結果、BT野生株を投与した群はBTΩps6株、BTΩgcpE株を投与した群に比べて、HT29細胞に対する細胞毒性が低い傾向を示した。
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