研究課題
アナプラズマ科細菌には、マダニ媒介新興感染症の「アナプラズマ症」の病原体であるAnaplasma phagocytophilumなどが含まれる。日本国内では、この細菌が未だに分離されていないため、その知見が乏しい。本研究では、難培養性A. phagocytophilumに感染した媒介マダニの1個体からメタゲノム解析を駆使することにより、この細菌のゲノム配列の解読を進めた。我々は、これまでに、A. phagocytophilum感染シュルツェマダニの唾液腺のDNAを用いて、次世代シーケンサー(NGS)によるメタゲノム解析で、A. phagocytophilumゲノムの平均 x20 read depthのread数を獲得し、さらにA. phagocytophilumより約10倍read数の多いシュルツェマダニの未知の共生細菌の存在を見出した。当該年度は、第3世代シーケンサーを用いたLong read sequenceにより、さらなる情報の収集を試みた。しかし、長期保存によるテンプレートDNAの劣化のためか、元の抽出DNAの中にA. phagocytophilumのゲノム長断片が少なく、良好な結果が得られなかった。そこで、ゲノムに対するread depthを増やすこととし、NGSによるメタゲノム解析をさらに進めた。その結果、A. phagocytophilumゲノムの平均 x100 read depthに相当するread数が得られた。さらに、このread数の増加により、それまで得られなかったBorreliaゲノムに対する長いcontigも取得できた。現在、in silico解析を進めており、これにより、シュルツェマダニ1固体から検出されるA. phagocytophilum、共生細菌、Borreliaなどのゲノム構造が明らかになるものと期待される。
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