研究課題
コリックストキシン(ChxA)のコレラ菌における病原因子としての重要性を明らかにするため、構築したBead-ELISA法でChxA高産生株と低産生株を選別し、動物モデルを用いて病原性を評価した。ChxA高産生株をマウス5匹の腹腔内に投与したところ、24時間から36時間の間に4匹のマウスが死亡した。一方、低産生株のChxAをマウス5匹に投与したところ、1匹が同様に24時間から36時間で死亡したが残り4匹は生き残った。以上の結果より、生体内で産生されたChxAはマウス致死活性に貢献している可能性が考えられた。現在、マウスに事前にChxAのトキソイドを投与した場合、あるいはChxA抗産生株のChxA遺伝子のノックアウト株を作製し、本知見を検証するための実験の準備を行っている。一方、新たに見出したChxAIVバリアントについては、なぜChxAIと比べて細胞毒性が128倍も低いかについて明らかにすることを目的に、結晶化のためのChxAIVの精製系の確立を試みた。ゲル濾過を行なった際、ChxAIは主に1本のピークとして溶出したのに対し、ChxAIVは2本のピーク(フラクション1と2)として溶出された。最初に溶出されたフラクション1は、ChxAの分子量と合致せず、ポリマーを形成している可能性が考えられた。そこで、フラクション1と2のそれぞれの細胞毒性を調べたところ、ポリマーを形成していると考えられるフラクション1の細胞毒性は32 ngであったのに対し、モノマーと考えられるフラクション2では細胞毒性が8 ngと4倍上昇した。すなわち、ChxAIVの細胞毒性が低かった原因はポリマーを形成していたことが起因していたのではと考えられた。現在、ChxAIVのモノマーの精製法を確立し、ChxAIVの細胞感受性,及びChxAIVとChxAIが同一の受容体を認識し細胞毒性を示しているかどうかを確認すべく、それぞれの受容体結合部位の組み換え蛋白を発現,精製している。
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Sci. Total Environ.
巻: 579 ページ: 646-656
10.1016/j.scitotenv