研究課題/領域番号 |
26460547
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
本郷 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90229245)
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研究分担者 |
下平 義隆 山形大学, 医学部, 助教 (30445746)
村木 靖 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00241688)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | C型インフルエンザ / ウイルス / NS1 / 核移行シグナル / 核外移行シグナル / スプライシング / 細胞内局在 |
研究実績の概要 |
C型インフルエンザウイルスのNS1タンパク質は、mRNAのスプライシングの促進に関与する。平成26年度に我々は、NS1がこの機能を発揮するのに必要な核移行シグナル (NLS) と核外移行シグナル (NES) の解析を行った。そして、167-171位、189-196位の配列がNLSとして機能すること、また、110-126位の配列は核外移行に関与することなどを報告した。後者の領域にはCRM1依存的核外移行シグナル (NES) のコンセンサス配列を満たす配列が2箇所重複して存在する。 平成27年度は、上記の2つのNLSの中でどのアミノ酸が核移行を担っているのか、110-126位の核外移行を担う領域の中に認められるNESコンセンサス配列が核外移行に関与するか否かを明らかにすることを目的とした。 NLSとして機能する167-171位、189-196位の領域の中にみられる核移行を担うと予想される塩基性アミノ酸をアラニンに置換したNS1変異体を作製した。また、上記のNESコンセンサス配列をアラニンに置換したNS1変異体を作製した。これらのNS1変異体をEGFPのC末端に連結したEGFP融合タンパク質を293T細胞に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡を用いて各変異体の細胞内局在を解析した。その結果、NLSとして機能するためには、170, 171, 189, 190, 193, 196位の塩基性アミノ酸が必要であることが明らかになった。一方、NESコンセンサス配列を全てアラニンに置換した変異タンパク質の核外移行は阻害されなかったことから、NESコンセンサス配列は核外移行に関与せず、110-126位の核外移行を担う領域の中のNESコンセンサス配列以外のアミノ酸が核外移行に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NESコンセンサス配列を全てアラニンに置換した変異タンパク質の核外移行は阻害されなかったことから、NESコンセンサス配列は核外移行に関与しないという予想外の結果を得たため。110-126位の核外移行を担う領域の中のNESコンセンサス配列以外のアミノ酸が核外移行に関与する可能性が示唆されたので、NESコンセンサス配列以外のアミノ酸にアラニン置換を導入して、核外移行を担うアミノ酸を同定する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
NESコンセンサス配列を全てアラニンに置換した変異タンパク質の核外移行は阻害されなかったことから、NESコンセンサス配列は核外移行に関与しないという予想外の結果を得た。110-126位の核外移行を担う領域の中のNESコンセンサス配列以外のアミノ酸が核外移行に関与する可能性が示唆されたので、NESコンセンサス配列以外のアミノ酸にアラニン置換を導入して、核外移行を担うアミノ酸を同定する。 さらに、NS1のNLSやNESがウイルス増殖に関与しているのか、NESを持っていることからNS1がvRNPの核外輸送に関与しているのか等を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想外の結果が生じ、予定通りに計画が進まなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
125,570円も平成28年度の研究費と合計して全額使用する予定である。
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