研究課題
本研究は、(i) HSV病態発現能を制御するリン酸化現象のさらなる解明、(ii) 超高感度リン酸化プロテオーム解析によるリン酸化情報に基づくデータベースの量的・質的な拡充、の2点を目標とし、その2点とも計画当初の目標を達成した。(i)に関して:本研究課題では、申請時、少なくとも3つの機能的新規リン酸化部位の同定を目標としていた。現在までに、UL12、VP26、Us8A、vUNGおよびUL51、計5つの新規機能性リン酸化部位の同定に至ったことから、目標は十分に達成されたと考えられる。これらの知見は、国際学術誌に発表した(J. Virol. 90: 5622-5635. , J. Virol. 89: 6141-6147., J. Virol. 88: 10624-10634.)。UL51に関しては、ウイルス粒子形成における新たな役割の同定につながり、現在、論文作成中である。また、vUNGに関しても、ウイルス病態発現における興味深い知見が蓄積しており、順次、論文化していく予定である。VP26のリン酸化部位は、単純な制御機構の解明のみではなく、VP26自身の新規機能の解明(J. Virol. 91: e01068-17.)にも派生しており、単純なリン酸化制御機構の解明だけではなく、HSVの粒子形成機構の解明にも、本研究は貢献したと考えられる。(ii)に関して:HSV-1あるいはHSV-2感染上皮系細胞を、ラージスケールの超高感度リン酸化プロテオーム解析に供し、その新規リン酸化情報を、大幅に拡充できた。特に、HSV-2感染細胞のリン酸化情報は、世界的に未報告なことから、価値のあるものであると考えられるこれらのデータベースは、HSV-1とHSV-2の差異に関する新たな研究展開にも貢献することが期待される。
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http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/kawaguchi-lab/KawaguchiLabTop.html