研究課題/領域番号 |
26460551
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80267955)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロテオミクス / 生体膜脂質ラフト / HIV |
研究実績の概要 |
課題1 ラフトの動的構成因子の同定(HIV-Nefが侵入するマイクロドメインの本来の動作の解析 1)先に確立した手法により調製したJurkat細胞のラフトの構成タンパク質を網羅的に同定するための、ショットガンプロテオミクスの手法を確立した。本法によりラフトを構成する膜タンパク質の特性が分かった。 2)Jurkat細胞を、マイトジェンとしてT細胞の活性化に用いられるphytohemagglutinin (PHA)、および、Proetein Kinase Cが関連する細胞内シグナル伝達系の下流を活性化し、T細胞に添加された場合はNF-kBパスウエイを活性化することが知られているPhorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)で刺激した後、ラフトの構成因子を先に述べたショットガンプロテオミクスで同定した。これを未刺激の細胞の結果と比較することで、PHA/PMA刺激の前後で変化したラフト構成因子を特定した。 課題2 構成因子の1分子観察(HIV-Nefが侵入するマイクロドメインの本来の動作の解析 機能を阻害しない部位を蛍光色素で標識したHIV-Nefを調製するために用いる部位特異的標識法でNefの合成量を確認したところ、充分量のサンプルが得られないことが分かった。そこで、Nef遺伝子のコドン使用頻度をサンプル調製系で用いる大腸菌のそれとあわせたところ、有意な合成量の増加を確認した。さらに、このようにした合成したリコンビナントNefをミリストイル化するための、in vitroミリストイル化の系を準備できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、プロテオミクスの手法として想定していた二次元電気泳動に加えて、よりラフト解析に適しているショットガンプロテオミクスの手法の開発に成功したことは、想定外の進歩である。 他方、他のものでは成功していた部位特異的標識に、HIV Nefで問題(充分な収量を得られなかった)が生じたのは想定外であった。しかしながら、その問題も年度内に解決することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
プロテオミクスに関しては、新たな手法をとりいれることにも成功し、想定以上に順調に進んでいるので、このまま、推進する。 一分子解析に関しては、部位特異的標識分子の調製で想定外の問題が生じたが、その問題解決に概ね成功したので、当所の方針通りに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定外の問題(部位特異的サンプルの調製に難航)が生じたことと、想定外の技術的な進歩があり一部解析方法に変更が生じたことで、当所の予定と差異が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究方針に変更は無いので、当該助成金は次年度以降の研究経費に組み込み、引き続き当該研究を継続する。
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