研究実績の概要 |
(1) 既報 (Virology, 1995) のとおり, HPIV2 HNのStalk領域をSV41 HNの当該領域で置き換えたキメラHN (CH1-94) はHPIV2 Fとではなく SV41 Fと特異的に(機能的)相互作用をする。一方, PIV5 Fの頭部 (Head) 領域の21個のアミノ酸をSV41 Fの対応アミノ酸で置換したキメラF (No.36) はPIV5 HN とではなくSV41 HNと相互作用する (J Virol, 2013)。しかし昨年度の本研究により, CH1-94はNo.36と相互作用しないが, そのHead領域 (HPIV2 HN由来)の2量体境界部近傍に位置する特定のアミノ酸群 (201位と202位)をSV41HNの対応アミノ酸群で置換したキメラHN (IM18) が No.36と相互作用できることを見出した。(2) 本年度の本研究により, 発現後12時間ではNo.36 とPIV5 HNとの相互作用は認められないが (J Virol, 2013), 発現後24時間では弱いながらも両蛋白の相互作用が検出できることを見出した。しかし, No.36 のStalk領域をSV41 Fの当該領域で置換したキメラF (No.37)は発現後24時間でもPIV5 HNとは相互作用せず, SV41 Fに特異的であることが判明した。さらに, IM18はNo.37と相互作用できないが, その2量体境界部近傍に位置するアミノ酸群 (518位, 520位, 522位, 529位, 533位, 537位, および 538位)をSV41HNの対応アミノ酸群に置換したキメラHN (R-19Z) は SV41 HNと同様にSV41 F, No.36, およびNo.37と相互作用できることを見出した。(3) 以上の結果から, HNのHead領域とFのStalk領域構造の相違が (HNのStalk領域とFのHead領域を介した) HN-F相互作用の特異性に劇的な影響を及ぼすことが明らかとなった。
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