研究課題/領域番号 |
26460559
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
馬場 昌範 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70181039)
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研究分担者 |
有馬 直道 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 客員研究員 (30175997) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重症熱性血小板減少症候群 / SFTSV / 抗ウイルス薬 / アッセイシステム |
研究実績の概要 |
致死率の高いウイルス感染症として同定された,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について,その原因ウイルスである SFTSV の増殖を選択的に抑制する抗ウイルス薬の同定と,開発を行うことを本研究の目的としている。そのためには,患者の臨床検体よりウイルスの分離同定を行い,それを用いて抗ウイルスアッセイシステムを開発することが必須である。平成 26 年度の研究計画ではウイルスの分離とアッセイシステムの開発を目標に置いていたが,ウイルスの分離は成功したものの,アッセイシステムを確立するところまでは到達出来なかった。その理由として,臨床検体から分離した SFTSV の増殖が良くないことと,Vero 細胞ではウイルスの細胞変性効果(CPE)がほとんど観察されないことがあげられた。そこで本年度は,研究の遅れを取り戻すために,Vero 細胞以外の細胞を用いて,SFTSV の増殖を試みたところ,ヒト肝がん細胞由来の Huh-7 細胞が SFTSV を効率良く増殖させることが明らかになり,高い感染価のウイルスを得ることに成功した。 次に抗ウイルスアッセイ系を確立については,酵素抗体法を用いて感染フォーカスの数を数えることにより,薬剤の抗 SFTSV 効果を定量出来ることが分かったが,より定量的なアッセイ法として,real-time RT-PCR 法を用いて,細胞内のウイルス RNA 量を直接定量する方法を採用し,その手法に工夫を加えることにより,感度と再現性に優れたアッセイ法を確立した。さらに,これを用いて種々に薬剤の抗 SFTSV 効果のスクリーニングを開始したが,現時点で基準となる薬剤であるリバビリンより高い活性を示す新規薬剤の同定には成功していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成 26 年度は抗ウイルスアッセイシステムの確立できず,研究の進捗状況はやや遅れていたが,本年度の研究期間中にアッセイシステムの確立を完了し,薬剤の抗 SFTSV 効果のスクリーニング開始することができた。残念ながら,現時点において,基準となる薬剤であるリバビリンより高い活性を示す新規薬剤は見つかっていないが,研究計画から考えて,研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(平成 28 年度)は本研究の最終年度に当たるので,今年度よりも多くの薬剤について抗 SFTSV アッセイを実施し,選択的に SFTSV の増殖を抑える新規薬剤の同定を成功させたい。また,有効な薬剤の同定に成功した時には,薬学分野の研究者と共同研究を行うことにより,同定した薬剤をリードとして,誘導体の合成展開を行い,リード化合物の最適化を行う。一方で,既に臨床使用が認可されている種々の薬剤について,それらの抗 SFTSV 効果を検討し,抗 SFTSV 薬として開発の可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗ウイルスアッセイ系の確立が遅れ,抗 SFTSV 効果を調べることができた薬剤の数が,当初の予定より少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度にはかなりの数の薬剤について,それらの抗 SFTSV 効果を調べる予定であり,その際の物品費として用いる。
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