研究課題
ウイルスゲノム複製機構を標的とした新たなHPV排除方法を開発するために、HPVゲノム複製に必要なウイルスDNAヘリカーゼE1の細胞内レベル制御機構の解明を進めた。これまでにE1が自身のATPase活性に依存して、ユビキチン・プロテアソーム系で分解されることを明らかにしている。また、E1レベルを変化させる細胞ユビキチンリガーゼのスクリーニングの結果、RNF146がE1レベルを著しく上昇させることを見出している。今年度は、分解に必要なE1の分子内ドメインについて解析を進めた。E1はN末端制御ドメイン(ND)、DNA結合ドメイン(DBD)、多量体形成ドメイン(OD)、ヘリカーゼドメイン(HD)から構成されている。FLAGタグをN末端に買った付与したHPV16 E1のC末端からの欠失変異体(HDを削った1-439、OD+HDを削った1-359、DBD+OD+HDを削った1-184)の発現プラスミドを作成し、293細胞に導入したところ、これらの欠失変異体はATPase活性を持たないため、細胞内で分解を受けなかった。そこで同時に発現させるHPV18 E1によって、これらの欠失変異体が分解されるかを、抗FLAG抗体によるウェスタンブロットによって検討したところ、三つの欠失変異体は同じように分解を受けた。従って、ND内にE1分解に必要なアミノ酸配列が存在することが示された。一方で、HDだけを含むN末端からのE1欠失変異体は細胞内での発現レベルが低く、HPV18 E1によって分解されたことから、HD内にもE1分解に関わるアミノ酸配列があると考えられた。
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Journal of Virology
巻: in press ページ: in press
10.1128/JVI.00017-18
Infectious Agents and Cancer
巻: 12 ページ: 44
10.1186/s13027-017-0155-4
https://www.niid.go.jp/niid/images/annual/h28/201620.pdf