慢性炎症は発がんの強い背景要因である。IL-21アイソフォームをT細胞特異的に発現させたマウス(Tg)に、炎症性大腸がんを誘導したところ、がんの発生が亢進した。IL-21はB細胞に対してAID発現を亢進し、抗体クラススイッチや突然変異を誘導する。そこで炎症性大腸がん発生に、IL-21によるAID誘導が関与する可能性を調べた。 発がん誘導Tgの大腸上皮細胞(IEC)において、AID発現が亢進する傾向があり、また、IL-21の直接刺激は分離したIECのAID発現を亢進させた。以上の結果より、IL-21が炎症状態にあるIECのAIDの発現を亢進させ、炎症性発がんを誘導している可能性が示唆された。
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