研究課題
この1年の間に海外のグループから、ガンマデルタT細胞を、エフェクター機能やホメオスタシスに要求するサイトカインの違いにより分類することができる新たなマーカーが複数報告された(doi:10.4049/jimmunol.1500375, doi:10.4049/jimmunol.1502082)。そこで、TCRg遺伝子のエンハンサーEgの欠損(EgKO)マウスで、これらのマーカーの発現がどのように変化しているか調べた。EgKOマウスではCD27陽性のガンマデルタT細胞が減少していることが前年度までに分かっていたが、CD27陽性サブセットをさらに詳細に解析したところ、CD27+/CD45RBhigh/Ly6C+の集団が著しく減少していることが分かった。また、homeostatic proliferationに伴い、ガンマデルタT細胞はCD45RBlowからCD45RBhighへ変化することが報告された。そこで、野生型マウスとEgKOマウスの末梢リンパ組織からCD45RBlowのガンマデルタT細胞を単離し、Rag2欠損マウスへ移植後のガンマデルタT細胞を解析した。EgKOマウス由来ガンマデルタT細胞も野生型マウスと同様に、CD45RBlowからCD45RBhighへ変化した。この結果から、EgKOマウスのCD27+/CD45RBhigh/Ly6C+ガンマデルタT細胞の減少は、CD45RBlowからCD45RBhighへの移行が障害されているためではないことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
TCRgエンハンサー欠損(EgKO)マウスでは、CD27+ガンマデルタT細胞の中でも特にCD45RBhighの集団が顕著に減少していることが分かった。また、野生型マウスとEgKOマウスのCD27+CD45RBlowガンマデルタT細胞をRag2欠損マウスへ移植したところ、EgKOマウスのガンマデルタT細胞も野生型マウスと同様にCD27+CD45RBhighへ変化できることが分かり、少なくともこの実験系においては、CD45RBlowからCD45RBhighへの移行は障害されていないことが確認できた。
CD27+/CD45RBhighガンマデルタT細胞をRag欠損マウスへ移植した時の生存維持に、野生型とEgKOマウスで差があるかどうかについて、さらに複数回の追加実験を行う。また、ガンマデルタT細胞の生存維持のみならず、サイトカイン産生能への影響も調べる。
抗体や磁気ビーズが、同じ製品を使う他の実験ですでに購入してあったため、今年度に限っては予定していた量より実際の購入量が少なかった。
再現性の確認のために、さらに複数回実験を繰り返すためには、追加での磁気ビーズと抗体の購入が必要である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
The Journal of Immunology
巻: 195 ページ: 1804-1814
doi: 10.4049/jimmunol.1302456.