研究課題
本研究は非免疫細胞におけるNFκBシグナルとSTAT3シグナルの同時活性化による炎症性サイトカイン、ケモカインの産生増強機構「炎症回路」におけるRNA結合タンパクであるRBM10の役割を明らかにするものである。shRNAによるRBM10欠損細胞株では炎症アンプの活性化による炎症性サイトカイン、ケモカインの産生、転写が強く抑制されていた。RBM10欠損細胞ではNFκBの転写因子であるp65のプロモーターDNAへの会合、ヒストンH3K9のアセチル化が顕著に抑制されておりクロマチンの状態変化が示唆された。DNAのメチル化は転写のサイレンシングにおける主要な機構であることからでDNAのメチル化について検討を行った。メチル化DNA免疫沈降法を用いたゲノムワイド解析により炎症性サイトカイン、ケモカインのプロモーター領域がRBM10欠損細胞株で顕著にメチル化されていることを発見した。De novo DNAメチル酵素であるDnmt3bは体細胞においては選択性スプライシングによって4種類のmRNAが転写されるが、RBM10欠損細胞株ではDNAメチル化活性を持つアイソフォームであるDnmt3b2の比率が増加していた。一方、DNAメチル化活性を持たないDnmt3b3の比率は減少していた。さらに定常状態においてp65とDnmt3bのリクルートしていること、さらにp65と会合できるDnmt3b のアイソフォームはDnmt3b2,3b3のみであることが明らかにした。さらにメチル化DNA結合タンパクであるMBD2のリクルート、ヘテロクロマチンのマーカーであるヒストンH3K27のトリメチル化が同様に亢進していたことから、RBM10欠損細胞においてはNFκB のプロモーター部位における抑制型のクロマチン構造が活性型のクロマチン構造が対照に対して優位になり、炎症回路の標的因子の転写を抑制していることが示唆された。
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