本研究は非免疫細胞における炎症の増強機構「炎症回路」における制御遺伝子RBM10の役割を明らかにするものである。RBM10欠損細胞では炎症回路の活性化に伴う炎症関連遺伝子のプロモーター部位におけるDNAのメチル化の増加が観察された。DNAのメチル化は転写を負に制御する主要な分子機構である。DNAメチル化酵素であるDnmt3bは酵素活性の有無で2種類のタイプに区別できるが、RBM10欠損細胞ではDNAメチル化活性のもつタイプの比率が増えていた。この結果からRBM10は炎症関連遺伝子のプロモーター部位のDNAのメチル化を適正に制御することにより炎症反応の強さを制御していることが分かった。
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