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2015 年度 実施状況報告書

正の選択を介して決定されるT細胞の生体防御機能

研究課題

研究課題/領域番号 26460576
研究機関徳島大学

研究代表者

高田 健介  徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 准教授 (40570073)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード免疫学 / T細胞
研究実績の概要

胸腺における正の選択は、生体にとって使用可能な抗原受容体を発現する胸腺細胞を分化段階で選別し、T細胞の抗原認識特異性レパトアを決定する機構として広く認識されてきた。しかし、その生理的意義については、未だ不明な点が多いのが現状である。本研究では、正の選択において中心的な役割を担う胸腺プロテアソームに注目して、正の選択の新たな意義を検討することを目的としている。平成27年度は、胸腺プロテアソーム欠損マウスを用いたこれまでの解析に基づいて、自己親和性マーカーであるCD5の発現レベルと、各種の改変抗原ペプチドを用いたマウス胎仔胸腺培養によって明らかにした。この結果から、正の選択が抗原受容体と自己ペプチド-MHC複合体との親和性に基づいて抗原応答性を規定することが示された。これまでに蓄積してきた、胸腺プロテアソーム欠損マウスのCD8T細胞における抗原応答性の異常、抗原受容体シグナルの異常、末梢における維持の異常、リステリア菌感染応答の異常といった知見と合わせて専門誌に報告した (Takada et al., 2016 Nature Immunology 16: 1069-1076)。以上の成果により、正の選択がT細胞レパトアのみならず、抗原応答性を規定することで獲得免疫系の形成に関与するという、正の選択の新たな生理的役割の一端が解明された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

胸腺プロテアソームを介した正の選択の新たな役割を学術誌に報告したことで、一定の成果を得た。この報告は、主にin vitroでの抗原応答に着目したものであるため、現在、生体内免疫応答、生体防御において正の選択を介したT細胞の機能的教育がどのような役割を担っているかの検討に着手している。

今後の研究の推進方策

平成28年度は胸腺プロテアソーム欠損下で分化したモノクローナルCD8T細胞が生体内でどのように特異的抗原に応答するかをレシピエントマウスへの移入実験により検討する。すでにエフェクター細胞の分化について検討を開始しており、順調に進行すれば、記憶細胞の分化までを検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度3月の納品となり、支払いが完了していないため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成28年度4月に支払い予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) 備考 (3件)

  • [国際共同研究] National Institute of Health/University of Minnesota(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      National Institute of Health/University of Minnesota
  • [雑誌論文] 胸腺プロテアソーム依存的な正の選択はCD8+T細胞の抗原応答性を至適化する2016

    • 著者名/発表者名
      高田健介、高浜洋介
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 34 ページ: 446-449

  • [雑誌論文] TCR affinity for thymoproteasome-dependent positively selecting peptides conditions antigen responsiveness in CD8(+) T cells2015

    • 著者名/発表者名
      Takada K, Van Laethem F, Xing Y, Akane K, Suzuki H, Murata S, Tanaka K, Jameson SC, Singer A, Takahama Y.
    • 雑誌名

      Nature Immunology

      巻: 16 ページ: 1069-1076

    • DOI

      10.1038/ni.3237.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Thymoproteasomes produce unique peptide motifs for positive selection of CD8(+) T cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Sasaki K, Takada K, Ohte Y, Kondo H, Sorimachi H, Tanaka K, Takahama Y, Murata S.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6 ページ: 7484

    • DOI

      10.1038/ncomms8484.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] T細胞のレパトア形成における胸腺皮質上皮の役割2015

    • 著者名/発表者名
      高田健介、高浜洋介
    • 雑誌名

      臨床免疫・アレルギー科

      巻: 63 ページ: 507-513

  • [雑誌論文] Positive-selection-inducing self-peptides displayed by cortical thymic epithelial cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Takada K, Takahama Y.
    • 雑誌名

      Advances in Immunology

      巻: 125 ページ: 87-110

    • DOI

      10.1016/bs.ai.2014.09.003.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 胸腺皮質における正の選択はCD8T細胞の抗原応答性を規定する2016

    • 著者名/発表者名
      高田健介、高浜洋介
    • 学会等名
      第35回 日本胸腺研究会
    • 発表場所
      徳島大学(徳島県徳島市)
    • 年月日
      2016-02-06 – 2016-02-06
  • [学会発表] TCR sffinity for thymoproteasome-dependent positively selecting peptides conditions antigen responsiveness in CD8 T cells2015

    • 著者名/発表者名
      Takada K, Takahama Y.
    • 学会等名
      第44回 日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20
  • [学会発表] 胸腺皮質上皮細胞を介した正の選択はT細胞の抗原応答性を規定する2015

    • 著者名/発表者名
      高田健介、高浜洋介
    • 学会等名
      第25回 Kyoto T Cell Conference
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2015-05-15 – 2015-05-16
  • [備考] 胸腺における分化と選択の過程がTリンパ球の機能形成に果たす役割

    • URL

      http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2015112600091/

  • [備考] 【報道発表】有用キラーT細胞を「正の選択」する自己ペプチドの解明

    • URL

      http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2015062400024/

  • [備考] 【報道発表】Tリンパ球機能至適化の新機構:「正の選択」の本質を発見

    • URL

      http://www.tokushima-u.ac.jp/docs/2015082400035/

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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