がん細胞に対する免疫応答(CD8+ T細胞応答)は臨床的にも治療効果をもたらすが、その一方で免疫応答から逃避するがん細胞の存在が知られており、そのメカニズム解明が重要である。本研究では非小細胞肺がん患者のがん組織を解析し、全体の70%以上にtapasin発現低下が認められること、さらにtapasin発現低下は予後悪化と関連するリスクファクターであることを示した。さらにがん細胞モデルを用いた検証から、tapasin欠損によりCD8+ T細胞の標的であるがん抗原ペプチドの産生量が低下することで、がん細胞に対するCD8+ T細胞応答低下を招いているメカニズムを明らかとした。
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