研究課題
NKT細胞は、感染や発癌過程において、自然免疫として初期生体防御機能を果たすCD1d拘束性のリンパ球であり、糖脂質リガンドを認識してIFN-γを強発現し、抗腫瘍効果を示す。しかし、これまでのリンパ組織における解析では、NKT細胞の免疫応答は自然リンパ球として短期的応答に留まると考えられてきた。最近我々はNKT細胞の中で、肺内に抗腫瘍効果を示すKLRG1陽性NKT細胞サブセットが長期に存在することをつきとめた。本研究では、このような抗腫瘍効果を示すKLRG1陽性NKT細胞のサブセットを詳細に解析し、脾臓内、及び肝臓内NKT細胞との細胞の局在、更に細胞寿命と機能の評価、及び長期抗腫瘍効果を発揮する分子機構の解明を行う。本年度は下記の点について概ね予定通りに研究を遂行し、エビデンスを得ることが出来た。(1) KLRG1+NKT細胞の局在として、肺、肝、脾 に存在することを明らかにした。(2) KLRG1+ NKT細胞の免疫学的特徴として、IFN-γが高産生性である以外に、種々の接着分子、ケモカインレセプター、NKレセプターを発現していることを明らかにした。(3) KLRG1+ NKT細胞の記憶免疫としての特性を長期に渡り維持していることを明らかにした。*肺に存在するKLRG1+NKT細胞は、経時的に1ヵ月、3ヶ月、6か月以上に渡り、機能的にサイトカイン産生能、ケモカイン産生能、抗腫瘍細胞傷害活性を維持していることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
予定通りKLRG1陽性NKT細胞の免疫学的特性については明らかにすることが出来、論文にまとめることができた。
今後は、長期に存在するNKTサブセットの誘導に必要な分子機構の解明をすすめる予定である。
端数が生じたため。
物品費として使用する。
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