研究課題
NKT細胞は、感染や発癌過程において、自然免疫として初期生体防御機能を果たすCD1d拘束性のリンパ球であり、糖脂質リガンドを認識してIFN- gammaを強発現し、抗腫瘍効果を示す。現在、定常状態におけるNKT細胞は、CD4T細胞の場合と同様にそのサイトカイン産生パターンから、NK1, NKT2, NKT17サブセットに分化すると考えられている。しかし、NKTリガンドによる免疫後にこれらのNKTサブセットがどのような挙動を示すかは検証されておらず、その免疫応答は自然リンパ球として短期的応答に留まると考えられてきた。我々は、NKTリガンドで免疫後に誘導されるKLRG1陽性NKT細胞が、記憶免疫としての特性を長期に渡り維持していることを明らかにした。更にKLRG1陽性NKT細胞とKLRG1陰性NKT細胞を単離して免疫学的、及び遺伝子解析を行った結果、KLRG1陽性記憶NKT細胞サブセットはKLRG1陰性NKT細胞サブセットに比較して、種々の接着分子、ケモカインレセプター、NKレセプターを発現しているのみならずIFN-gammaの産生能が高く、再刺激で更に高いサイトカイン産生能を示すことを明らかにした。確かに、KLRG1陽性NKT細胞は、その表現型やサイトカイン産生パターンから想定されるように、RNA-seq解析の結果からも、定常状態におけるNKT1サブセット特異的遺伝子と共通する遺伝子発現パターンを示すことが判明した。つまり、NKT1サブセットが記憶免疫化したものがKLRG1+陽性NKT細胞であると考えられる。また、転写因子に関してもKLRG1陽性NKT細胞に特異的な分子の候補を同定できた。
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