研究課題
前年度の結果を踏まえ、TRAF6を腸管上皮細胞特異的に欠損するマウス(TRAF6-IEC-KOマウス)の表現型解析を行った。TRAF6-IEC-KOマウスではM細胞マーカーの発現が欠失していた。しかしながら走査電子顕微鏡でTRAF6-IEC-KOマウスのFAEを観察したところ、形態学的にM細胞と判断される細胞が残存することが認められた。そこでこれらの細胞がM細胞としての機能を有するか否か評価を行った。M細胞から取り込まれるネズミチフス菌(S. typhimurium)およびY. enterocoliticaをTRAF6-IEC-KOマウスに経口投与し、パイエル板への取り込みを測定したところ、TRAF6-IEC-KOマウスにおいてこれらの細菌の取り込みが著しく減少することが確認された。また、TRAF6-IEC-KOマウスではS. typhimuriumおよびY. enterocoliticaに対する糞便中の特異的IgA抗体の産生量が有意に減少していた。このようにTRAF6-IEC-KOマウスは機能的なM細胞を欠失することから、M細胞を介してパイエル板に取り込まれる細菌に対する免疫応答が減弱することがわかった。TRAF6はRANKL-RANKを介したNF-kB古典的経路の活性化に必須な分子であるが、同時にNF-kB非古典的経路の活性化にも直接的に関与することが報告されている。そのためTRAF6-IEC-KOマウスではNF-kB古典的および非古典的経路それぞれの重要性を正確に評価することはできない。そこでNF-kB古典的経路および非古典的経路を腸管上皮細胞特異的に欠損するマウスを導入し、それぞれのM細胞分化における役割を評価することにした。現在実験に必要なマウスを準備するため、これらのマウスの交配を続けている。
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Journal of Experimental Medicine
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