研究課題/領域番号 |
26460585
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮武 昌一郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (30239420)
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研究分担者 |
青木 和久 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (00280785)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ZNF131 / 転写因子 / T細胞 / B細胞 / 細胞増殖 / GATA3 |
研究実績の概要 |
これまでおこなってきたT細胞分化および成熟T細胞の機能におけるZNF131の役割について、論文を発表した。さらに計画していたようにB細胞の分化過程におけるZNF131の役割につての解析を進めた。B細胞の初期分化においてもZNF131は必須であった。pre pro B細胞の過程でZNF131を欠失するとpro B 細胞の過程で分化はほぼ完全に停止する。pro B細胞の過程では、Ig heavy chainの遺伝子再構成と強い細胞増殖が見られる。ZNF131の欠失では、細胞増殖の抑制が認められ、これはT細胞に対する影響と酷似する。一方、T細胞では見られなかった事象として、遺伝子再構成の効率の減弱が見られた。これは、pro B細胞における細胞増殖の抑制に伴い、間接的に発生したという仮説を立てている。一方、ZNF131と細胞増殖との関係については、T細胞の場合と同様、ZNF131が細胞周期制御因子p21の転写抑制作用を持つと考えられた。ZNF131のp21プロモーターでの制御領域の解析をより詳細におこなった結果、癌抑制遺伝子p53の制御領域と重複している可能性が示唆され、ZNF131とp53との関係を解析することが重要な課題のひとつとなるにいたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T細胞でのZNF131の機能については、論文を発表した。またB細胞での機能に関して、特にB細胞の初期分化過程での機能について、研究がかなり進展し、新たな課題も出てきた。B細胞に関する研究内容の発表準備をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
細胞周期制御因子であるp21に関して、癌抑制遺伝子p53の重要な標的遺伝子であり、p53はp21の転写を活性化する。ZNF131は逆にp21の転写を抑制することを解明したが、さらにp53とZNF131の制御領域が重複している可能性が示唆され、そのため、このふたつのタンパク質がどのような相互作用を持っているのかを詳細に検討する必要がある。またp53が非常に重要な癌抑制遺伝子であることから、ZNF131と細胞癌化や細胞老化との関連が重要な研究テーマとして提起された。ZNF131のリンパ球における機能に関して、T細胞活性化への関与など重要な課題が残っているが、同時に癌化、老化といった事象での機能の解析も進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿費用(その他に含まれる)が予想より高額となり、その分、物品費で調整をはかったが、若干の余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品の購入にあてる計画である。
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