本研究では、CKD患者における医療機関と院外薬局との間の診療情報提供をより確実かつ具体的に行う医療連携システムにより、CKD患者における服薬管理の向上と、薬剤師によるCKD療養指導の可能性について検証を行い、CKD重症化予防に寄与することを目的とする。 平成28年度より、診療報酬で新たに「かかりつけ薬剤師」として、専属の薬剤師が患者のお薬相談にのる制度が確立された。当初予定していた指導介入研究は実施が困難となり、かかりつけ薬剤師制度が開始し、各薬局におけるCKD療養指導に対する取り組みがどのように変容したか個別調査を行う方針とした。 平成29年度より、日本腎臓学会による腎臓病療養指導士の認定制度が発足し、薬剤師、看護師、管理栄養士が腎臓病療養を担う資格を有することになった。調剤薬局に勤務する薬剤師も本資格を有することができ、服薬指導に活用されることが期待されている。 人口20万人規模の都市の主として調剤薬局に勤務する薬剤師を対象とした地元の薬剤師会の会員192名を対象に、アンケート形式で調査を行った。本調査は筑波大学医学医療系医の倫理委員会の承認を得た。 アンケートは192名中87名が返送され、回収率は45.3%であった。性別は男性33名、女性50名、未回答4名で、年代は50代が最も多く、次いで30代であった。調剤の経験年数は平均17.8年であった。服薬指導の時間は患者一人当たり平均6.1分で、回答者の50%はかかりつけ薬剤師を担当していたが、そのうち79%は腎臓病や腎機能に関する指導は以前より増えていないと回答した。腎臓病療養指導士の認知度は32.6%であったが、19.0%は今後取得予定であると回答しており、認知度が高まると取得を目指す薬剤師が増え、腎臓病に関する指導も増えてくることが期待された。
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