研究課題/領域番号 |
26460594
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 千恵 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50589786)
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研究分担者 |
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10345879)
坂口 正道 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283727)
藤原 道隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (70378222)
藤井 努 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60566967)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医歯薬学教育 |
研究実績の概要 |
医学教育の多くの分野にシミュレーションが導入されつつある.外科手術領域においても,1990年代以降の急速な内視鏡下手術の普及の中で,バーチャル・リアリティ(VR)外科手術シミュレータが実用化されてきた.今のところ,VRシミュレータは把持や切開,クリップなどの最も基本的な動作以外の有用性は充分でない.特に<剥離・吻合>手技は多くの臨床医が重要と考えているが,現在のVR技術では有効なシミュレーションは困難である.剥離や腔内での吻合といった統合的な手技は,実際の手術におけるon the jobトレーニング(OJT)の前には動物実験(AL)によっているのが現状であるが,動物愛護,高コスト,少ない訓練機会, リアリティ(人間との違い)など多くの問題点がある.そこで,最基本スキルとOJTの間を埋める新たな統合的タスクによるシミュレーション教育法を創造する.具体的には,擬似腸管モデルを作成し,その有効性を評価することにした. まずは,現実により近い腸管モデルを作成するため,実際の臓器で腸管モデルに必要な解剖学的構造物のサイズを計測した.動脈及び腸間膜の厚みは4mm,末梢の腸管付着部の腸間膜の厚みは15mmであった.これを元に腸管モデルを作成した. 作成した腸管モデルを用いて,腔内吻合トレーニングセミナーを開催し,実際に内視鏡下手術を行っている外科医に使用してもらった.有効性・問題点を明らかにするため,使用後にアンケート調査を行った. アンケート結果では,腸管の取り扱いやステープラー挿入の工夫に関して有用であり,ALと比較すると,ALの方がリアリティは高いものの手順を習得するためには腸管モデルで良いという結果であった.トレーニング後に実際の手術で腔内吻合を行った医師のうち,トレーニングが役に立ったという回答は100%であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
擬似腸管モデルの作成を行い,これを用いて吻合トレーニングセミナーを開催し,その有効性について評価することができた.
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今後の研究の推進方策 |
評価システムの作成やそのシステムのvalidity評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
腸管モデルの作成を行ったが,評価システムの作成,評価を行うことができなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に,評価システムの作成と評価,成果の発表を行う.
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