平成27年度までに実施したファシリテーター養成プログラムの結果、概ね、参加者はファシリテーションに自信を持ち、ワークショップ参加者の前でも堂々とスムーズに話せるようになった。ただし、パソコンやパワーポイントの使用に不慣れなファシリテーターや、マニュアル通りに単調に読み上げるだけに終始したファシリテーターもいた。さらに、地域の多職種の多様な終末期ケア教育ニーズに対応した多職種連携教育プログラムを展開していくことができる人材を育成するために、平成28年度は補助的なプログラムを開発し、形成的評価を得た。プログラムは3時間半で、平成28年8月に実施された。プログラムの評価は、参加者の自己評価の質的分析により行った。プログラムの参加要件は、平成13年から活動している名古屋市とその近郊の高齢者ケア関係者による多職種連携の会「高齢者の生活全体を支えるネットワーク」の世話人である地域の医療・介護職のうち、研究代表者らが主催するワークショップ・セミナー等でファシリテーターを務めた経験がある者とした。参加者は6名であった。本プログラムによって向上が見られた力として、司会力、要約力、合意形成力、論理力、発言力、企画力、柔軟性、自己研鑽力、の8つの領域が抽出された。今回のプログラムは、ファシリテーション力に留まらず、多職種連携教育プログラムの企画力をも向上させる可能性が示唆された。短時間である本プログラムの利点を生かし、教育効果を量的に検証した上で、全国的に普及していくための実践的研究を行う必要がある。
|