本研究の目的は、非医療系在宅ケアマネジャーを対象とした高齢者の終末期ケアマネジメント教育的支援システム「在宅終末期ケアマネジメントサポートシステム」を開発し、そのシステムによる在宅ケアマネジャーの知識や態度に対する効果を実証することである。平成27年度後半から平成28年度前半にかけて、全国拠点6市で本プログラム「在宅終末期ケアマネジメントサポートシステム」の説明会を行い、非医療系ケアマネジャーを主体とした医療・介護・福祉関係者の参加者に約3か月間、本プログラムを利用してもらった。本システムは、LINE@を用いて高齢者の終末期ケアに関するマルチプルチョイス問題(1日1題)とその解説、補助教材を提供するものである。本プログラムの評価として、システム導入前後にFATCOD-Form B、緩和ケアに関する知識・態度を問う質問紙を用いた。全国から107名の参加者を得た。統計解析の結果、終末期ケア提供への前向きさ、それに関する知識、実践において得点が向上したが、残念ながら領域ごとの合計点の比較においては統計学的有意差がみられなかった。サンプルサイズが当初目標の200に到達しなかったこと、高齢者の終末期ケアは学習するには範囲が広すぎたこと、マルチプルチョイスでは態度領域の学習効果が十分に得られなかったことなどが原因として考えられた。今後、統計の専門家のアドバイスを受けながら統計解析について検討を加える予定である。また、認知症の終末期などテーマを絞った内容への変更、態度領域に焦点を当てた視聴覚教材の充実なども必要と考えた。
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