研究課題/領域番号 |
26460600
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山敷 宣代 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90420215)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40252449)
海道 利実 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80314194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 地域医療連携 / チーム医療 / 移植肝臓内科医 |
研究実績の概要 |
[I]医療従事者向け教育プログラム構築のための実践: 初年度の計画では,研究者の所属する施設内においてセミナーを複数回開催し,教育プログラムを改良することを検討していた.しかし多職種が一同に集まるセミナー形式を繰り返し行うことは困難であった.そこで,平成27年度は,肝臓移植に関する医学的,社会的な問題点について,2週間毎に問題点を要約し,治療方針の合意をはかり,それを文章化することを繰り返した.文章化したものを電子メールで配布しそれをやりとりすることで行った.この方式は,病院内のチームにおける意見の相違点や共通点を見出し方向性を定めるために有効であった. また,施設外の問題点を把握するために,日本肝移植研究会の協力を得て研究会会員を対象としたアンケート調査を実施した.肝移植医療チーム内における内科医のかかわりや問題点について調査するもので,その結果を現在集計中である. [II]患者サポートプログラム構築のための調査: 日本では移植を必要とした患者家族に対する心理社会的問題には移植コーディネーターや移植医,精神科医が支援にあたる.今回,生体肝移植ドナー候補者に焦点をあてて検討したところ,ドナー候補者は,初回受診から手術までに様々な検査にを受けるため,それぞれの検査目的や方法についての理解が不十分になる可能性が高いことが判明した.これまで健康で特に医療機関への受診もなかったドナー候補者が,ドナー検査を受ける際の不安を軽減する目的で,タブレット型PCを用いながら検査目的を学んで頂けるアプリケーションを開発中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度,計画がやや遅れていたため,研究方法を見なおした.多くのスタッフの時間調整を必要とするカンファレンス形式の研究は行わず,アンケート調査や情報収集,アプリの開発等の手法に変更した.また患者サポートに関しては対象が広すぎたため,生体肝移植ドナーに対象を絞って問題点を検討したところ,ドナー検査に対する理解を深めることが喫緊の課題と考えられた.その点に着目したことで,今年度は順調に研究を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
[I]医療従事者向け教育プログラム: H27年度までの成果をもとに,最終年度には医療従事者に向けた教育プログラムを提案出来ることを目指す.医師向けには,現在移植外科医が中心に行っている医療行為について,内科医にわかり易いように言語化,図表化していくことが重要と思われる.具体的には,医学的・社会的・倫理的問題についてテーマを決め,メール添付形式で多職種間の意見を集約しマニュアル化していく方針を継続し,H28年度後半にはこれらを集約したい. 社会面では,平成27年度も引き続き,医療従事者における臓器移植に関する意識調査を実施する. 学外に向けては, H27年度に既に実施した,日本肝移植研究会会員を対象としたアンケート調査の集計を進め,移植チーム医療に関するさらなる問題点を明らかにする. [II]患者サポートプログラム構築にむけて:H27年度に施策した,生体肝移植ドナー候補者支援のためのPCアプリを実際に用いて,診療の支援につながっているかどうかを評価する.有効性が確認できる場合には,ホームページ上に公開することを予定している.
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