研究課題/領域番号 |
26460607
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小林 元 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (20423791)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 器用さ / 進路 / シミュレーション実習 / 医学生 / psychomotor skill |
研究実績の概要 |
医学部臨床実習でのシミュレーション実習で観察される医学生のpsychomotor skillには、主観的にも客観的にも明らかな差がある。これらの個人差が専門診療科選択にどのように影響しているかを明らかにすることを目的として、以下の2項目について検討を行なっている。 (1)医学生のpsychomotor skillの多面的測定による検討 医学生のpsychomotor skillとして手先の器用さ(dexterity)とコミュニケーション能力を測定している。医学生の手先の器用さは、腹腔鏡下手術シミュレーション実習でシミュレータによって自動的に計測される操作パフォーマンス、及び、採血シミュレーション実習で採血手技の教員評価(客観的)、医学生自身による手技の自己評価(主観的)を指標とした。医学生のコミュニケーション能力は、模擬患者との医療面接実習で測定し、教員評価と医学生の自己評価を指標とした。平成28年度は福島県立医科大学医学部5年生100名を対象としてデータ収集を行なった。平成21~25年度の医学部5年生についてdexterityの詳細な解析を行い、男子学生は女子学生よりも腹腔鏡下手術シミュレータの客観的操作能力に有意に優れていることを認めた。医学生による器用さの自己評価は妥当であったが、女子学生は自身の器用さを有意に低く評価する傾向にあることを明らかにした。 (2)卒後の専門診療科選択に関する調査 平成22~24年度の福島県立医科大学医学部の卒業生238名について、卒後3年次の専門診療科を調査した。外科系診療科の選択者と内科系診療科の選択者はほぼ同数であった。両者の間で、卒前の腹腔鏡下手術シミュレーション実習で観察された器用さに有意な差は認めず、専門診療科選択には器用さ以外の要因が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医学部5年次臨床実習で行われるシミュレーション実習(腹腔鏡下手術シミュレーション実習、採血実習、模擬患者との医療面接実習)において、手先の器用さ、および、コミュニケーション能力に関するデータを継続的に収集できている。腹腔鏡下手術シミュレーション実習で観察された医学生の器用さの特徴について、性差に焦点を当てて解析した。 医学部卒業生238名について現在の専門診療科を調査した。うち67%の専門診療科を特定でき、外科系選択者と内科系選択者の間で、卒前の器用さについて比較解析を行った。卒後の専門診療科調査を継続していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、収集したデータの解析と成果発表を行う。具体的には、(1)医学生の手先の器用さとコミュニケーション能力の個人差、(2)psychomotor skillと志望診療科、及び、卒業生の現在の専門診療科との関連性について解析する。これらの結果から、医学生のpsychomotor skillが専門診療科選択にどのような影響を及ぼしているか考察する。研究成果は、国内外の学会や論文などで発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
身内の不幸により研究遂行に支障が生じたため、研究期間を1年間延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度として、データ解析と成果発表を行う。設備備品としてプリンタを購入予定である。消耗品として、文房具、プリンタトナー、コピー用紙などの費用を見込む。旅費として、学会発表(日本医学教育学会、日本シミュレーション医療教育学会、欧州医学教育学会、アジア太平洋医学教育学会等)を予定する。その他の費用に関しては、論文投稿に関する経費(英文校閲料、投稿料等)、学会参加費を見込む。
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