研究実績の概要 |
本研究は、関節リウマチ(RA)患者の視点に立ちながら、医療者も理解可能な治療効果指標の開発をめざし、特に早期RA患者の身体的・心理的な変化の把握を目的として行うものである。 初年度はまずRAの治療効果指標に関する既存の研究成果のレヴューを行った。RAの治療効果指標の評価に関するコンセンサスを構築することを目的に設立された国際学術団体、OMERACTが2012年に開催した会議の成果が発表されており(Boers, et al., j Clin Epidemiol. 2013)、今後、新たな評価方法を開発する計画を報告した。また「長期RA患者における手術治療に対する満足度の決定要因は何か」を臨床疑問として文献レビューを行ったところ、該当した3編(Sharrock C, et al., Musculoskeletal Care. 2013 doi: 10.1002/msc.1061. Bogoch ER, et al., J Hand Surg Am. 2011 Jun;36(6):1007-1014.e1-4. Bourne RB, Clin Orthop Relat Res. 2010. doi: 10.1007/s11999-009-1119-9)の論文の結論が共通することが分かった。RA患者が関節手術に求めるものは多様であるが、患者自身が術前の目標・期待をどれほど達成できたと感じるかが満足度に関与しており、術前の包括的な患者教育が不可欠である。本研究では今後、これらの結果を参考にしながら、日本人が求める治療効果について追求する予定である。 初年度はまた、名古屋RAネットワークメンバーとミーティングを行い調査項目について討議し、RA患者へのヒアリング調査も行った。さらに、平成19年国民生活基礎調査の匿名データを用い、RA患者の生活背景についての分析も開始した。
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