最終年度は、診療参加型臨床実習におけるeポートフォリオの高い教育効果と持続可能性の実現と検証を目的に、下記を実施した。 1) 臨床実習におけるeポートフォリオの導入は平成28年度では10診療科に留まっていたが、平成29年度から、全診療科共通日誌型eポートフォリオとして、原則全診療科への導入を実現した(茨城医療センターなど一部の診療科を除く)。 2) 今までの研究で教育効果と持続可能性が特に優れていると示唆された第5学年における日誌型eポートフォリオの使用状況を調査し、学生の振り返りの書き込み数と内容および担当教員からのフィードバック数と方法について診療科ごとに分析することにより、教育効果と持続可能性を検証した。 3) 日誌型eポートフォリオプログラムの詳細の仕様(電子システム・プログラム中身・運用体制)について、第49回日本医学教育学会大会において「臨床実習における教育効果と持続可能性を備えた全科共通eポートフォリオへの取り組み」と題して発表し、公開した。 補助事業期間全体を通じて実施した研究の成果として、研究の目的であった「診療参加型臨床実習において、本来の高い教育効果を維持しながら限られた人的・時間的資源という日本の事情の中でも持続可能なeポートフォリオプログラムの開発・検証・公開」が実現できた。本研究で、コンピテンシー達成度の評価eポートフォリオ、日誌を中心とした学習eポートフォリオ、相談教員制度におけるeポートフォリオ、臨床実習の360度評価とフィードバックからなる形成的評価など、数種のプログラムを検証した。その結果、全科共通の臨床実習日誌を中心としたeポートフォリオが多くの科のニーズに合い、資源が限られている中でも持続する工夫が可能で、指導教員が学生一人ひとりに合わせてフィードバックを行うことで、学生それぞれの成長を促すことができ、高い教育効果が得られることが確認できた。
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