研究実績の概要 |
OECDの報告によると、我が国における診断機器の設置率が高いことが指摘されている。2011年の人口10万人あたりの設置数は、OECD平均でCT 2.4件、MRI 1.3件と報告されている。同年の人口1,000人あたりの検査数は、OECD平均でCT 131.0件、MRI 55.4件である。我が国のCTやMRIの設置数・検査数はともにOECD平均をはるかに上回っている。 CTやMRIは診療ばかりではなく人間ドックなどではがん検診として用いられている。CTやMRIによるがん検診については死亡率減少効果は示されていない。一方、マンモグラフィによる乳がん検診は死亡率減少効果が認められることから対策型検診として推奨され、全国の市町村で実施されている。しかし、マンモグラフィの受診率は20%代に留まっている。そこで、マンモグラフィ、CTやMRIの供給状況について、医療施設調査などを用いて検討した。 過去10年間に、CT設備は1.4倍に、CT検査数は5.8倍に増加した。同時期に、MRI設備は2.5倍に、MRI検査数は10.3倍に増加した。2008年から2011年の間の、マンモグラフィ装置と検査件数増加は10%に留まっていた。10万人あたりの検査装置数は、CT 10.2件、MRI 4.7件、マンモグラフィ6.2件であった。10万人あたりの検査件数は、CT 22,464件、MRI 10,627件、マンモグラフィ7,983件であった。福島県を除く46都道府県でCTの10万人あたりの検査装置、検査数はマンモグラフィを上回っていた。MRIについては、9県で10万人あたりの検査装置数がマンモグラフィを上回っていた。しかし、10万人あたりのMRI検査件数は9県でマンモグラフィを下回っていた。 CTが過剰供給される一方で、マンモグラフィの供給は必ずしも充足していない可能性が示唆された。
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