研究課題/領域番号 |
26460621
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡邊 清高 帝京大学, 医学部, 准教授 (80422301)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メディアドクター / 医療情報 / リテラシー / 研究成果の発信 / マスメディア |
研究実績の概要 |
海外の評価尺度を参考に一般向けのメディアとして、新聞・週刊誌・ネットメディアの医療健康記事を題材に、評価手法、指標の設定について妥当性、一致率および医療関係者の間との認識の相違について明らかにすることで、医療報道の質向上に資する手法を確立することを目的として開始した。26年度は記事を用いた評価作業および評価軸についての集中的な議論を踏まえて、評価手法と評価情報の発信モデルの構築に向けた検討を行った。 (1)医療健康報道の評価手法の確立 本研究班の前身が試作した評価軸の案を用いて、実際の記事を題材に、評価指標の設定と手順について、わが国の医療健康報道の特性を踏まえた評価手法を検討した。例として健康診断における基準値(血圧、コレステロール値等)を設定した記事を用いた検討では、「利用可能性(健診へのアクセスに関する言及は十分)」「新規性(話題の新規性を適切に言及している)」「弊害(基準値設定に伴うコストやリスクについて言及している)」についての評価は一致して高かった一方で、「代替性」「あおり・病気づくり」については評価が分かれる結果となった。健診(健康な一般人を対象)、医療(疾患に罹患した患者を対象)など、記事の扱う医療や健康への介入目的によって求める基準が異なること、啓発(好意的な意味合いで用いられる)と病気づくり・あおり(否定的)の基準は評価者(さらには読者)によって異なると想定された。 (2)医療健康情報発信とメディアリテラシー向上のために必要な要素の検討 医療健康報道に関する信頼性、期待に関するアンケートを実施した。実際の記事を用いた話題提供とディスカッション、よりよい記事を書いたり、医療情報を受け取る際の読み方のガイダンスの必要性、継続的な評価内容を含めた共有方法について提案がなされ、今後の成果の発信および評価活動に取り入れることが可能なものから実践に移すものとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
評価手法の検討およびウェブサイトでの活動記録の公開を実施している。評価手法の確立および妥当性の検討を踏まえて、研究実施期間に具体的な検討プロセスおよび検討結果を公表できるよう引き続き検討を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
当研究班の評価手法の妥当性検証・評価情報発信モデルの試行と運営を引き続き実施していく。平成27年1月1日発行の新聞協会報でメディアドクターの活動について紹介されるなど、メディアや一般の方向けに認知を広げる活動も継続していくことで、健康医療を正しく理解することの重要性についても引き続き発信していく。折しも健康食品の機能性表示が行いやすくなるなど、患者だけでなく一般の方が健康医療報道に接する機会が増えることもあり、こうした取り組みはさらに重要になると考えられることから、関連メディアや学会への参加、投稿を通して研究成果を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の研究施設の異動に伴い、研究班会議の再調整や立ち上げ、費用見積もりの徴取に時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
評価手法の検討およびウェブサイトでの活動記録の公開に向けた作業見積もりは半年遅れで進捗しており、27年度中に使用額の消化遅れを回復する見込みである。研究計画そのものの遅れはない。
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