研究課題/領域番号 |
26460622
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
内野 三菜子 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (00383258)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医学教育 / 初期臨床研修 / がん診療 / 救急診療 |
研究実績の概要 |
本研究は、広く一般臨床医によるがん診療の質の向上を目指した生涯教育のあり方を検討するについて、1.現状の時間外診療におけるがん診療についての一定の傾向や偏りがあればそれを明らかにし、時間外受診におけるがん診療の特徴を定義し分類するための基礎データとした上で、2.将来の一般臨床医の担い手となる初期臨床研修医の時間外診療の修練における問題点を探り、3.時間外診療から専門外来へ引き継いで診療に当たる専門医の視点から、診療の継続性についての問題点を検討する。以上の3段階を踏まえてがん診療における専門診療と一般診療のより良い連携構築のあり方を考察するものであり、本年度は1についての取り組みを行った。 診療録のレビューを行うことにより、現行の救急診療におけるがん診療の展開について何が問題点なのかをより具体的に明らかにすることが可能であり、ここで得られる知見はその後の議論の基礎となる重要な資料として必須である。本年度の診療録レビューは、まだ正確なコーディングまではなされていないものの、該当診療録の抽出の過程でカルテを総覧した範囲では、一般診療との連携に加え、福祉など社会的支援との連携などが必要である様子が伺われる。このことから、レビューから得られる知見は、診療連携のあり方のみにとどまらない、広くがんと社会のあり方について考えるための示唆も得られると考えられる。これは、初期臨床研修医に対しては社会医学的側面の学習を喚起するものとなるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主任研究者の組織内の移動により、診療録閲覧が現所属施設では不可能となったため、閲覧のために別組織まで物理的に移動して検討する必要が生じ、進捗に際しては日常診療業務による時間的制約を大きく受けることになった。また、元々の組織においても診療録閲覧に際する事務手続きの大幅な変更があり、それに伴い診療録抽出の為の検索アルゴリズムの仕組みにも制限がかかったため、実際に対象となる診療録を全体から拾いだすためにレビューする段階でも仔細な検討を要するようになり、診療録のレビューに当初の予定よりも圧倒的に時間がかかった。現在、ようやく対象となる診療録を抽出し終える段階である。ただし、診療録レビューの段階で仔細に読み取る作業を経ているため、一度抽出してからはコーディングの過程を多少なりとも短縮できることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
検索のシステム変更のため、抽出に予定よりも大幅に多くの手間と時間を必要とすることになったが、その過程で得られた知見を診療内容の検討に反映させたい。 また、診療録のレビューからは初期臨床研修医・がん専門医それぞれのディスカッションにおいてバイアスを避けるため、グループインタビュー参加者に対する診療録レビューの結果は提示しないことが望ましいと考えられた。このため、グループインタビューは診療録レビューと並行して行うことができる。今年度前半にインタビュー参加者を募り、聞き取り調査を行いたい。 データ処理については引き続きカナダのスタッフの助言を求めているが、この機会を利用し、カナダでの診療の状況も考察の方針においての参考としたい。
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