がん診療における患者中心の医療として、専門医と一般診療医の連携によるがん診療の継続性保持は、担がん患者およびがんサバイバーの増加に伴いますますその重要性を増しているが、がんを専門としない一般総合診療は必ずしもがん患者のニーズをカバーする医療を提供しきれておらず、特に時間外診療ではがん診療の継続性・一貫性が損なわれやすい現状がある。 がん専門病院ではなく、一般総合診療を中心とした教育医療機関である当院の時間外診療の現場で、初期臨床研修医およびがん専門医ががん診療の継続性についてどのような問題点を抱えながら診療にあたっているかについて、グループインタビューを用いて調査を行った。具体的には①初期研修医自身の臨床の場における学習課題の自己評価と②国立病院機構のがん専門医から得る知見をそれぞれグループインタビューから抽出した。 これにより、初期臨床研修におけるがん診療についての学習課題を抽出し、同時に、がん専門医の立場から、非がん専門医療機関における一般総合診療医にとってのがん診療のニーズにがん専門医がどのように工夫して要請に応えているか、また応えうるかの可能性を、学習者・教育者両側面から合わせて考察した。両者の連携のプロセスは、がん診療における診断から治療への橋渡し、また、集学的な治療から経過観察時期の慢性疾患としての診療体制への移行においていずれも重要である。時間外診療の場にフォーカスして考察を行うことで、初期臨床研修医を含めた一般診療医・非がん専門医を対象とした、がん診療の継続性を保持するための教育プログラム構築への一助とする。 これらのインタビューの結果および考察の成果については平成28年度に、第48医学教育学会大会、第70回国立病院綜合医学会にてそれぞれ発表を行った。
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