研究課題/領域番号 |
26460624
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
兵頭 一之介 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60416469)
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研究分担者 |
遠藤 慎治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40625919) [辞退]
大和 建嗣 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (50174751)
山本 祥之 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00649288)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | p73 / がん |
研究実績の概要 |
目的:p53変異型癌細胞では,p53遺伝子(TP53)と高い相同性を有するp73遺伝子がp53と同様に転写調節因子として腫瘍細胞の増殖抑制効果を示すとされている。また、MDM2 (murine double minute 2)やΔNp73(p73のN末端トランス活性化ドメイン欠損変異体)は、p73活性を抑制することで癌の増殖や転移を促進すると言われている。本研究では,様々な癌細胞株におけるp73の抗腫瘍効果について検討した。 方法:大腸癌(DLD-1、HCT116)、胃癌(Kato-III、NUGC3)、卵巣癌(SK-OV-3)、肝臓癌(HuH-7)、骨肉腫(Soas-2)細胞株を用いてタンパク発現、試験管内細胞生存率の解析を行った。 結果:いずれの細胞においても、非刺激下ではp73及びΔNp73は検出されなかった。抗がん剤による発現誘導では、大腸癌細胞株(DLD-1、HCT116)においてのみ5-FUあるいはIrinotecan単独でp73が誘導されたが、ΔNp73の発現誘導は検出されなかった。TP53をノックアウトしたHCT116 p53(-/-)において、5-FUは親株と同等の抗腫瘍効果とp73発現誘導性を示した。さらにp73発現をsiRNAでノックダウンしたが、5-FUの抗腫瘍効果は抑制されなかった。以上からp53非存在下でp73は5-FUの抗腫瘍効果に関与していないことが示唆された。また、p73発現抑制は、5-FUとMDM2/MDM4 に対するsiRNAによって誘導されるp53やその下流のp21の発現及び増殖抑制効果のいずれも妨げなかった。 結論:野生型p53の存在下及び非存在下の、いずれにおいてもp73活性化による腫瘍増殖抑制効果はみられなかった。p73をがん治療の標的とするためには、さらなる検討が必要と考えられた。
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