がん抑制遺伝子p53変異型癌細胞では,高い相同性を有するp73遺伝子がp53と同様に転写調節因子として働き、腫瘍細胞の増殖抑制効果を示すと報告されている。 本研究では,p73の抗腫瘍効果について種々のヒトがん細胞株を用いて検討した。大腸癌細胞株(DLD-1、HCT116)において5-FUあるいはイリノテカンでp73が誘導された。そこで、HCT116を用いて様々な関連分子の修飾下において、p73の腫瘍増殖に与える影響を検討した。その結果、変異型p53の存在下及び非存在下いずれにおいてもp73の腫瘍抑制効果は低かった。がん治療におけるp73活性化の応用には、さらなる検討が必要と考えられた。
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