研究課題/領域番号 |
26460625
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 晶 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20419237)
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研究分担者 |
織田 進吾 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10725534)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合成カチノン / 危険ドラッグ / 神経毒性 / ドーパミン |
研究実績の概要 |
危険ドラッグの成分で覚せい剤と化学構造が類似しており、ドーパミン再取り込み阻害作用を有する合成カチノンであるPyrovaleroneの長期に及ぶ脳神経系への影響(ドーパミン神経の変性)を明らかにするため、Pyrovalerone 30 or 60 mg/kg (i.p., 2 hr interval, 4 times)を投与したC57BL6マウスの線条体および前頭皮質を3日後に採取し、ドーパミン神経のマーカーであるチロシンヒドロキシラーゼの発現量をウェスタンブロット法により検討した。さらにドーパミン再取り込み阻害作用に加え、ドーパミン遊離作用を有する合成カチノンである4-Bromomethcathinoneについても同様に検討を行った。 Pyrovalerone (30 or 60 mg/kg) 投与後の線条体および前頭皮質において、ドーパミン神経のマーカーであるチロシンヒドロキシラーゼの発現量をウェスタンブロット法により検討したところ、生理食塩水投与群と比較してその発現量に差は認められなかった。一方、4-Bromomethcathinone (30 or 60 mg/kg) 投与後の線条体においては、チロシンヒドロキシラーゼの発現量は生理食塩水投与群と比較して85-88%程度まで低下していた。4-Bromomethcathinone (30 or 60 mg/kg) 投与後の前頭皮質においてはチロシンヒドロキシラーゼの発現量に変化は見られなかった。また、Pyrovaleroneおよび4-Bromomethcathinone投与後の直腸温は生理食塩水投与群と比較して有意に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4-Bromomethcathinone (30 or 60 mg/kg) 投与後の線条体において、チロシンヒドロキシラーゼの発現量が生理食塩水投与群と比較して低下傾向を示すことを明らかにした。この結果は4-Bromomethcathinoneにより覚せい剤と同様な神経毒性が誘発される可能性を示唆するものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Pyrovalerone (30 or 60 mg/kg) および4-Bromomethcathinone (30 or 60 mg/kg) 投与後の海馬においてセロトニン神経のマーカーであるセロトニントランスポーターの発現量をウェスタンブロット法により検討し、Pyrovaleroneおよび4-Bromomethcathinoneによるセロトニン神経毒性の有無を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬類を外国から輸入する必要があるものがあり、平成27年度中に購入できないものが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に本年度購入出来なかった試薬類を購入し、研究を遂行する。
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