研究課題/領域番号 |
26460629
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石塚 洋一 熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (70423655)
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研究分担者 |
江良 択実 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00273706)
竹尾 透 熊本大学, 学内共同利用施設等, 講師 (10517014)
中潟 直己 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30159058)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝障害 / アセトアミノフェン / niemann pick type c / NPC1 |
研究実績の概要 |
リソソームに存在し細胞内コレステロール輸送を司るタンパク質であるNiemann-Pick type C1(NPC1)が脂質輸送だけでなく“薬剤性肝傷害発症にも必須の因子である”との仮説を立て、本研究では、①肝傷害発症におけるNPC1の役割解明、②Drug repositioningの観点から、NPC1機能を制御する既存薬の肝傷害治療薬としての新たな可能性評価を行うことで、アセトアミノフェンをはじめとする重篤な急性薬剤性肝傷害に対する新規治療戦略としてのNPC1制御の可能性を検証する。 昨年までに、Npc1遺伝子欠損マウスがアセトアミノフェン誘発肝障害に対し抵抗性を示すことを明らかにした。本年度は、そのメカニズムを明らかにするため、アセトアミノフェン誘発肝障害の病態形成に重要な役割を果たすc-Jun N-terminal kinases(JNK)経路の活性化におよぼす影響を調べたところ、野生型マウスと比較して、Npc1遺伝子欠損マウスではJNK経路活性化を示すリン酸化JNKの発現が顕著に軽減されていた。さらにNPC1阻害作用を有することが知られている薬物のうち、臨床でも使用される薬物であるアミトリプチリンを用い、アセトアミノフェン誘発肝障害におよぼす影響を調べたところ、アミトリプチリン投与による顕著な変化は見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、アセトアミノフェン誘発肝障害の病態形成に重要な役割を果たすJNK経路の活性化におよぼす影響を明らかにすることが出来たことで、アセトアミノフェン誘発肝障害の病態形成においてNPC1が影響するのはJNK経路の上流であることが明らかになった。また、顕著な効果は見られなかったためはっきりした結論は得られていないが、NPC1阻害薬のアセトアミノフェン誘発肝障害におよぼす影響を検証することは出来たが、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの知見に基づき、最終年度は、アセトアミノフェンの代謝活性化におよぼすCYP2E1発現および活性、グルタチオン含量を測定し、野生型マウスとNpc1遺伝子欠損マウスで比較検証する。更に、アミトリプチリンをはじめとした、NPC1阻害薬の影響について詳細を調べ、本年度完全に明確に出来なかった部分を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通りに実験を行うことが出来たが、一部、動物の納入に遅れが生じ、NPC1阻害薬の効果について完全に解明するに至らなかったたため、その分の残金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
計画に記入したとおり、本年度実施出来なかった分の動物を最終年度の実験に回し、NPC1阻害薬の効果を詳細に調べる。
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