研究課題
本年度は、腎不全による海馬機能低下における小胞体ストレスの関与を詳細に検討するとともに、新規に見出した小胞体ストレス抑制薬のメカニズムについて検討した。昨年度までの検討により慢性腎不全モデルである5/6腎臓摘出マウス(CKDマウス)の海馬で上昇することが明らかとなったストレス関連タンパク質の発現レベルと血液生化学検査値との関係について検証した。その結果、海馬では、小胞体ストレスのマーカータンパク質であるglucose-regulated protein 78(GRP78)や酸化ストレスのマーカータンパク質である4-hydroxynonenal (HNE)付加タンパク質の発現レベルが、腎機能のマーカーである血清Blood Urea Nitrogen値や血清Creatinine値に相関して増加することが明らかになった。一方、大脳皮質や小脳では、これらの相関は認められなかった。また、CKDマウスの海馬、小脳、大脳皮質におけるグリア細胞の変化を検討したが、記憶障害発現直前のマウスでは顕著な変化は認められなかった。さらに、マウス海馬由来HT22細胞を用いたin vitroスクリーニングモデルにより見出した(本学産官学連携知財センターを介して特許出願中)flavonoid関連物質およびIndirubin誘導体の新規小胞体ストレス抑制薬のメカニズムについて検討した。Western Blot法を用いて、小胞体ストレス応答因子の発現亢進に及ぼす影響を解析したところ、これらのストレス抑制薬は、細胞死に関与するC/EBP-homologous protein (CHOP)の発現増加を著しく抑制することが明らかとなった。
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Cell Mol Neurobiol
巻: 37(3) ページ: 445-452
10.1007/s10571-016-0377-9.