研究課題/領域番号 |
26460635
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
永松 正 名城大学, 薬学部, 教授 (70103265)
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研究分担者 |
水野 智博 名城大学, 薬学部, 助教 (40711669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 最終糖化産物 / 凝集タンパク質 / メサンギウム細胞 / アクアポリン / 酸性化 / 細胞内pH / サイトカイン |
研究実績の概要 |
1.培養マウスメサンギウム細胞の細胞膜にアクアポリン1(AQP1)及び3(AQP3)が発現していることをreal time RT-PCR解析と蛍光抗体法で明らかにした。また、AQP1あるいはAQP3を各siRNAでノックダウンしたメサンギウム細胞を、pH5.5の酸性溶液内で2分インキュベイションすると、対照群と比較してsiRNA処置群ではメサンギウム細胞内のpHの低下が抑制された。さらに、siRNA処置群では、酸性溶液刺激による炎症性サイトカインの発現増加の抑止が認められた。 2.培養ヒトメサンギウム細胞(HMCs)をNa+‐H+ exchanger阻害等で処置した後に、AGE-cholesterol-aggregated human albumin(ACH)を取り込ませるとHMCsのpHiの低下が増強された。 3.HMCsにACHを取り込ませても、活性酸素の発生を検出することはできなかった。 4.RAGE KOマウスの糸球体からメサンギウム細胞を作成し、AGE-cholesterol-aggregated Bovine serum albumin(ACB)で刺激したところ、IGF-1 mRNAの発現は抑制されたが、LOX-1 mRNAの発現抑制は認められなかった。すなわち、ACBによるLOX-1 mRNAの発現増加にRAGEが関与しているという仮説は否定された。また、RAGE KOメサンギウム細胞へのACBの取り込み抑制はあまり認められなかった。同様にACBによるIL-1βmRNAの発現上昇も抑制されなかった。すなわち、ACBによるIL-1βmRNAの増加は、RAGEを介するという仮説は否定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.RAGE KOマウスから作成したRAGE KOメサンギウム細胞の実験が終了した。 2.アクアポリンがメサンギウム細胞でのpHiの低下(酸性化)に関係することを明らかにできた。 3.AGE凝集タンパク質による細胞の酸性化が周囲のメサンギウム細胞に炎症を引き起こすという仮説を補強するデータが得られた。 4.これらのデータを基に、藤田保健衛生大学病院医学部内分泌代謝内科で説明し、糖尿病患者血液サンプルの提供の了承を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.糖尿病性腎症の原因凝集タンパク質の糖尿病マウスでの同定実験を進める。
2.AGE化ヒト凝集アルブミン(ACM)でメサンギウム細胞の酸性化が生じたので、その原因と考えたミトコンドリアのH+産生増加がACMで生じるという仮説を検討する。
3.AGE-cholesterol-aggregated mouse albumin(ACM)により正常マウスでアルブミン尿が出現したことから、マウスポドサイトを用いて酸性溶液、ACM、AGEかマウスアルブミンによるポドサイト障害性の検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の購入合計の差額の端数が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
マイクロ遠心チューブの購入代金の一部とする。
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