研究課題/領域番号 |
26460639
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
|
研究分担者 |
権田 幸祐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80375435)
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 乳癌幹細胞 / 蛍光ナノ粒子 / 蛍光イメージング / ABCトランスポーター |
研究実績の概要 |
平成26年度は抗癌剤耐性と乳癌幹細胞との関連を明らかにするため、当院での初発乳癌手術症例における、手術前に抗癌剤を投与しても腋窩リンパ節転移が遺残していた症例の選定と、ホルモン受容体、HER2ステータスなどの臨床病理学的検討を行った。2004~2010年に当院で手術を行いリンパ節転移陽性と診断された49例の原発巣および転移リンパ節巣の切除標本を対象として免疫組織学的に解析を行った。また、術前化学療法前後の変化を検討するために、同症例中から標本作成が可能であった35例の針生検 (CNB; Core needle biopsy) 検体に対しても同様の検討を行った。結果、エストロゲン受容体, プロゲステロン受容体, HER2の発現は、原発巣と転移リンパ節巣の間に有意な相違は見られなかった。転移リンパ節巣のサブタイプ毎の解析では、乳癌幹細胞性の少ないとされるlumilal A typeは、lumilal B typeに比較して予後良好であったという結果が得られた。 これらの術前化学療法を施行した症例での乳癌幹細胞性の検討を行うため、抗ABCトランスポーターの条件検討を行った。ABCトランスポーターの中で、乳癌術前化学療法で用いられるエピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセルに影響を与える種類として、ABCB1、ABCC1、ABCG2が上げられ、それら抗体についての蛍光ナノ粒子イメージングのための条件検討を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データの収集・解析が終了し、結果も論文化され、初年度として研究は順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
ABCB1、ABCC1、ABCG2に対する抗体を用いて、in vitro及び臨床検体のパラフィン包埋切片を用いた蛍光ナノ粒子イメージングを行い、乳癌幹細胞の”機能の定量化”を行う。既に抗体は選定済であり、臨床症例の検体及び臨床病理学的データセットも初年度で揃えたため、イメージング後、画像解析並びに統計学的解析を行宇予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は本研究の対象となる当院での初発乳癌症例の選定及び臨床病理学的解析を主として研究を行い、論文化に至った(Nemoto, Tada et al. Int J Biol Markers, 2015)。これらの症例を用いて蛍光ナノ粒子解析を行う為、抗ABCトランスポーター抗体の購入を予定していたが、非常に多くの抗体が上市されており、科学研究費を無駄に使うことのないよう、慎重に検討を重ねていた結果、抗体の購入が平成26年度内に間に合わず、次年度繰り越しとさせて頂いた。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の抗ABCトランスポーター抗体の選定は既に終了しており、早期に前年度予算を使って購入し、研究を進めていく予定である。
|