研究課題
我々は1993年にレムナント研究のブレークスルーとなったレムナント単離精製法並びに血中濃度測定法を確立した。また我々は過去3年間に、リポ蛋白リパーゼ(LPL)ならびに肝性TGリパーゼ(HTGL)の新規活性測定(基質分解活性)法と、新たに独自の高感度LPL, HTLG濃度測定法(ELISA)を開発してきた。本研究ではヘパリン有無の血漿を用いてリポ蛋白リパーゼ(LPL)や肝性TGリパーゼ(HTGL)の血清検体測定の臨床的有用性について検討した。具体的には(1)ヘパリン投与前後(有無)の症例における糖負荷や脂肪負荷試験(OFTT)後の検体を、我々が最近開発した高感度の脂質代謝酵素(LPLならびにHTGL)の濃度測定(ELISA)と活性測定(基質分解活性)法で測定し、血中レムナント(RLP)関連検査項目との関係を解析し、これらの酵素活性の評価に実際、ヘパリン投与が必要かどうかを調べた。(2)特にプレヘパリンLPL測定を行い、血清RLP値の増加が観察されている糖尿病、冠動脈疾患、メタボリック症候群患者におけるLPL濃度とRLP値との関係を検討した。その結果、糖尿病、冠動脈疾患、メタボリック症候群患者の血清LPLは、健常群よリも有意に低値をしめし、LPLはレムナントの粒子サイズと負の相関を示し、粒子イサイズの大きなレムナントは少数のLPLと結合し小さいレムナントは多数のLPLと結合している可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
LPL活性のインヒビターTetrahydrolipstatinを添加したポストヘパリン血漿から安定したLPL-レムナント(酵素―基質複合体)の単離が可能となり、研究が大幅に進んだ。、
今年度我々は、プレヘパリン血漿中のLPL濃度の測定が、ポストヘパリン血漿のLPL活性に代わりうることを証明するため、高感度LPL-ELISAを用いてRLP分画中のLPLの測定をこない、循環血中に存在するLPLがRLPとどのような関係にあるのかを検討する。つまりヘパリン投与によって血管内皮表面から放出されたLPLがRLPとどのように結合しているのか、ヘパリン採血後の経時的変化「0、15、30、60分後」を観察し、LPL活性とLPL濃度とRLPの関係を検討する。特にRLPと結合していることが知られているアポC1とアポC3(LPLインヒビター)により、LPLが不活性化になるのかどうか検討する。なおヘパリン投与後、活性を持つLPLが血管内皮から循環血中に大量に遊離されるが、活性を持つLPLは大半がどこに移動し、不活性型のLPLはどのような存在形態なのかスーパーローズ6Bを用いたゲル濾過と高感度LPL-ELISAを用いて検討する。さらにLPLなら便HTGL活性のインヒビターであるtetrahydrolipstatinを用いて採血後のLPLがどのように移動するかを検討する。本年度は、LPLとRLPの結合状態を検討することにより、ヘパリン投与なしの循環血中LPL濃度の測定の臨床的意義を見出す予定である。なおHTGLに関しては、プレヘパリン血漿中HTGL濃度が検出限界以下なので、現在新たな高感度HTGL-ELISAの測定系の開発を進めている
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