研究課題/領域番号 |
26460644
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 美保 金沢大学, 保健管理センター, 助教 (10547136)
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研究分担者 |
古市 賢吾 金沢大学, 附属病院, 准教授 (50432125)
和田 隆志 金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / オートタキシン |
研究実績の概要 |
本研究では,生理活性リゾリン脂質のうち,リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid, LPA)の産生酵素であるオートタキシン(autotaxin, ATX)と,リゾホスファチジルセリン(lysophosphatidylserine, LPS)の産生酵素であるPS特異的ホスホリパーゼA1 (PS-phospholipase A1, PS-PLA1)の腎疾患における臨床的意義を明らかとすることを目的としている.本年度は,腎生検により糖尿病性腎症合併を組織診断された2型糖尿病例を対象として,血清ATX測定の意義を検討した.臨床所見について,血清ATX増加と尿蛋白量との関連が認められた.また,腎病理所見について,血清ATX増加とびまん性病変,結節性病変,間質線維化・尿細管萎縮,細動脈硝子化との関連が認められた.臨床転帰について,血清ATX高値例では腎複合イベント発症のリスク増加を認めたが,その有意性は尿蛋白量による補正により消失した.以上より,2型糖尿病に伴う糖尿病性腎症において,血清ATXが蛋白尿増加と腎病変進展に関連している可能性が示されたが,予後予測マーカーとしての有用性についてはさらに検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,組織学的に糖尿病性腎症合併を診断された2型糖尿病 38例を対象として,血清ATX測定結果の解析を終了した.検討結果の学会発表を行い,論文投稿中である,
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度に血清ATX測定の臨床的意義を検討した糖尿病性腎症 38例を対象として,血清PS-PLA1と臨床・病理所見ならびに臨床転帰との関連を検討する.また,他の腎疾患についても,これらのリゾリン脂質産生酵素測定の臨床的意義を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の検討は,申請前に血清ATXを測定していた検体の解析を中心に行った.そのため,病理組織用消耗品や測定用試薬の購入が少なく,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は他の腎疾患やリゾリン脂質産生酵素についても検討を拡充し,今年度分を使用する予定である.
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