本研究では、生理活性リゾリン脂質のうち、リゾホスファチジン酸の産生酵素であるオートタキシン(autotaxin: ATX)の糖尿病性腎症における臨床的意義を検討した。糖尿病性腎症合併を組織診断された2型糖尿病 38例を対象とした解析にて、腎生検時の血清ATX濃度は尿蛋白量と正相関を示した。また、対象を血清ATX濃度の中央値で層別化したところ、血清ATX濃度高値群ではびまん性病変、結節性病変、細動脈硝子化が進展していたが、腎複合イベント(透析導入または推算糸球体濾過量の50%低下)発症率には差を認めなかった。以上の成績を、Intern Med誌(2016; 55: 215-221)に報告した.
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