研究実績の概要 |
ヒト血漿、血清、気管支肺胞洗浄液などの生体試料を用いて、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF- TOF MS,MS/MS), 液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC MS/MS), ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC/MS)により、脂質分子及び分子種(異なる脂肪酸側鎖から構成される分子)のプロファイルの作成を行った。今回の研究では、微量成分や未精製では分析困難な試料について、有機溶媒抽出法の改良、ターゲット脂質を部分精製するための薄層クロマトグラフィー(TLC)による抽出法とシリカゲル及びイオン交換ゲルなどを用いたミニカラムクロマトグラフィー(固相抽出カラム)抽出法を検討し、簡易的な試料の調製法を構築することができ、臨床検査に応用できる可能性を示した。最終年度は、ホスファチジルエタノールアミン(PE),リゾPE(プラズマローゲン型とアシル型)、リゾホスファチジン酸、スルファチド,スフィンゴミエリン,モノアシルグリセロール、遊離脂肪酸などの分子種プロファイルを作成できた。これらの結果から、生体脂質の主要構成成分およびリゾ体や代謝産物の微量脂質のプロファイルを視覚化するために、様々なグラフを作成し、プロファイルの判読の効果を検討した。これまでは,健常者データについて作成したが、現在、臨床との共同研究により疾患別のプロファイルおよびグラフ化により、疾患特異的的な脂質プロファイルの簡易な解析法を検討している。また、プロファイルデータは,LC MS専用の解析ソフトにより分析した脂質分子種の解析を行い、脂質分子間の関連性を検討した。今回使用した解析ソフトは、LC MS専用研究ソフトであるので、これらの収集した結果を基に、簡易な一般ソフトへの応用を検討している。
|