研究課題
抗CCP抗体は関節リウマチ(RA)の特異抗体であるが、その対応抗原は十分わかっておらず、新たな対応抗原を探すために、オリジナル蛋白アレイを作成した。従来の2200蛋白に加えて中間径フィラメントとシャペロンを加えた2400種類の蛋白アレイを作成し、抗CCP抗体陽性、陰性RAでのスクリーニングを行い、解析中である。一方、抗カルバミル化蛋白抗体(抗CARP抗体)はRAに特異的な自己抗体とされているが、RA以外の膠原病での陽性率は報告がなく、また抗CARP抗体の対応抗原はわかっていない。原法にのっとり、RA以外の膠原病での陽性率をみたところ、RAの29%で陽性となるところ、他の膠原病の10%前後が陽性となった。その対応抗原を明らかにするために蛋白アレイとalpha Screen法を組み合わせてスクリーニングを検討した。すなわち、2400種類のビオチン化蛋白を一斉にKOCNと反応させてカルバミル化し、ストレプトアビジンをコートしたビーズとプロテインGをコートしたビーズと患者血清を反応させ、抗カルバミル化蛋白抗体をもっていれば、そのカルバミル化した対応抗原と反応しビーズが架橋され、レーザー光線を当てることで架橋されたビーズが発光する仕組みである。しかしながら、KOCN処理することでビオチン化蛋白に変性がおこり、ビオチンとストレプトアビジンの結合が起こらなくなることが判明した。そこで、KOCN濃度を薄めていきビオチンが変性せず、それでいてカルバミル化がおこる濃度を検討した。予備実験により本来の1M KOCNでなく、100uMから10mMでもある程度カルバミル化が起こり、alpha Screen法も動きそうであるが、現在、至適濃度を確認中で、うまくいけば大規模なスクリーニングを予定している。
2: おおむね順調に進展している
新規の蛋白ライブラリーを作成し、抗シトルリン化蛋白抗体をスクリーニングすることが、H26年度の主目的であったことから、まだ解析中であるがほぼ達成できた。カルバミル化蛋白抗体に関しては、既報の抗カルバミル化蛋白抗体を再現することができ、他の膠原病での陽性率を明らかにすることができた。これはまだ報告がみられず、論文化している。蛋白アレイとalphaScreen法を用いた対応抗原のスクリーニングに関しては、予想に反してカルバミル化がビオチンを変性させることが判明し、通常のカルバミル化条件では不可能であり、その条件検討に時間を要している。しかし、その改善した条件でスクリーニングを行える可能性が高そうであるため、現時点ではほぼ予定通りの順調な進行具合であると考えている。
抗シトルリン化蛋白抗体のスクリーニングで自己抗体対応抗原として選定された候補蛋白を作成し、ELISAの系をつくり、多数のRA、膠原病血清を用いて、RAに対する感度、特異度を検討する。また、関節での発現の有無を確認する。抗カルバミル化蛋白抗体に関しては、予備実験にて至適KOCN濃度を確定し、場合により反応時間や温度の検討も行う。至適条件を確定したのち、2400蛋白を用いたスクリーニングを開始する。すなわち2000ビオチン化蛋白のカルバミル化を行い、alphaScreen法で抗カルバミル化蛋白抗体陽性血清を用いて対応抗原の同定を行う。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件)
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