研究課題
ヨーネ病は、牛などの反芻獣に慢性下痢を繰り返す致死性の細菌感染症であり、法に基づく定期検査(血清診断、菌培養、菌遺伝子検出)による感染摘発・淘汰が行われている。本研究は、ヨーネ菌抽出抗原を用いた現行の血清診断法に代わる迅速診断法開発と病態解析を目的とする。これまで、遺伝子データベースのヨーネ菌遺伝子から推定されるアミノ酸配列群からの特異遺伝子選出、アミノ酸配列相同性比較解析での候補遺伝子選抜を行い、大腸菌発現系での網羅的な組換えタンパク発現、ヨーネ菌免疫牛血清を用いたイムノ・ブロット・スクリーニングにより3種のヨーネ菌抗原を選定した。本年度は、各組換え大腸菌粗抽出液からの抗原タンパク精製を試みたところ、C-末端側タグ付加による融合タンパクは、タグに親和性ある精製用レジンとの結合性を示さず、他複数の精製手法でも高度精製できなかった。一方、N-末端側にタグを付加した融合タンパクは、アフィニティ精製容易で高度精製できたが、免疫血清に対する反応性が失われた。以上の問題点を改善するため、タグおよび発現宿主大腸菌等変更による効果について比較検討したところ、組換え大腸菌から得られた精製タンパクは血清抗体とのイムノブロット反応性を維持し、ELISAでの反応性検討が可能と考えられた。次に、ELISA実施条件の検討を行い、至適条件下で実験感染牛より経時的に採取された血清を用いて各抗原へのIgG反応性検討を行ったところ、各抗原タンパクに対する反応値には差が認められたものの、感染以後の反応性上昇が認められた。
3: やや遅れている
ELISA用抗原調製の過程で、発現組換えタンパク性状を理由に高度精製困難や反応性消失などの問題が発生した。ベクターや発現宿主変更による条件検討の結果、問題店は改善された。
複数の実験感染牛血清を用いて、精製組換えタンパクへの反応性を解析し、更に定期検査用等の牛血清を用いた反応性検討や解析を行う。
小額の残金となったため、次年度へと繰り越した。
平成28年度請求額と合わせて使用する。
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FEMS Microbiol. Lett.
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10.1093/femsle/fnw082
J Vet. Med. Sci.
10.1292/jvms.15-0701